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08. 03. 20

退院報告

本日、退院することができました。

入院していた間、このブログを通して
有形無形のはげましをいただいたこと、
どれほど俺自身の力になったかしれません。 
みなさんからいただいた言葉や気持ちをおもって
ここまで来ることができました。
こんなふうにみなさんからいただいたものを、
心のたからものとして大切にしていきたいと思っています。
心からお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

それから、
もう耳栓をしなくても、心静かに暮らせることができるように
なりました。(笑)
これもすごくうれしい。

一昨日、それに先立って主治医と検査結果の
話がありました。
俺が入院した原因は、腫瘍マーカーという
がんを示す数値がこのところ動いてきていた
ので、もしかしたら、何かあるんじゃないか、
と主治医が判断したためだったわけです。
で、結果をお話しますと、なぜこの数値が
上昇したのか、「理由は分からない」ということでした。
「分からないけど、取りあえずは、
大丈夫だろう。」という、至って本当かよ? って
ような話が主治医からの診断結果でした。(笑)


それはともかく。
もうひとつ、実は主治医から
別の話も聞きました。
それが以下の話です。


実は、俺の主治医というのが、
この地域のがんの中核病院の肝臓専門の医師なので
肝炎治療の方針を決定する委員会の委員も
つとめていたりします。 そういうことで、肝臓治療の国の
方針を決定する委員会の現在の進行状況を
はっきりと教えてくれたりもします。

ちょっと前に薬害肝炎が和解という形で決着した、という
ニュースがありました。これは大きな扱いで報道されたので
ことは聞いたことあるよ、とおっしゃる方も大勢おいででしょう。
あわせて、肝炎の患者の治療についても
国の補助が出る、という方向が打ち出されました。


が、


今のところ、その治療についての具体的な中身については
なんにも進んでいない、ということです。

そういえば、昨日院内のコンビニで立ち読みした、今週号の
朝日のアエラにも肝炎患者の認定が遅れている、
という記事がありました。

たまたま主治医の話を聞いたすぐ後だったので、あ、ここにも
書いてあるなぁ、と思いながら興味深くその記事を読みました。
患者の救済が今、非常に遅れているのです。


それはなぜか。


ある役所が、強硬に文句をつけているから、
事態が全く前に向かって進むことができないのだそうです。

それはどこか、と言えば、
「財務省」。
この役所が、肝炎の治療について、
「ゼニはこれだけしか出されへんで。」
(どうしてだか、ここの部分、大阪弁になってしまってますが。笑)
と言っているので、計画は決まっているのに、裏づけとなる
お金が出ないんだそうです。

お金が出ないということは、当然「ない袖は振れない。」
したがってすべての進行はストップをして、
事態は進展しない。
まぁ、そういう状態なのだそうです。

俺、今の今まで、患者の救済要件を決めるのは、担当医師か、
厚生労働省、の管轄だろう、と思っていたのですが、
実際のところは、金を持ってる役所がここまでしか救済できない、
とその線引きをしてしまうのだそうです。


国の具体的な施策はその予算の枠内でしか出来ません。
そうなると、少ない予算で施行、ということになれば、
当然、患者数の制限、ということになるわけです。
だからこの患者は救済するけど、この人はダメ、
っていうことが実際に起こってきます。

もっと具体的に言うと、財務省は「患者認定の数を極力減らせ。」
といってきているそうです。ですから、アエラも報じているように
「認定された患者の数が非常に少ない。」というわけです。
そこで平仄が合います。


それから、
「肝臓病の治療をすでにもう二度三度とやってて治らない人というのは、
治る見込みがないから、補助はしない。」
とも財務省は言い出している。


どう思います?


人の命はみんな等しく重いはずです。
しかし、治る見込みのない奴は、補助の対象外なんだそうです。
そのことをはっきり、もっとアケスケに言ってしまうと、財務省は
「治るはずがない人間に、ゼニをかけたって無駄だからやめろ。」って
思っているのでしょう。

これ、差別、っていうことじゃないんですかね。

アエラは、事態を知ってか知らずか、肝炎の患者認定が遅れているのは
厚生労働省の責任、、と書いてありましたけど、実際のところは厚生労働省
というより、「金の問題」で、財務省の問題です。

そういうことが今、起こっているのだ、と主治医は話してくれました。

俺は、この国の今の官僚のありようがそのまま反映されたような
話だなぁ、と思いながら、主治医からそんな話を聞きました。
財務省の役人は、国民なんて「税金」を納める「物」としか
思っていないんでしょうね。 俺は主治医にそう言いました。
それから、そういう差別をしないように会議で主張してください、
とお願いしました。


さっき家に戻ってきて、洗濯をし終わり、持っていっていたものの片づけが
終わったところです。 今、ある映画のDVDを片方で見ながら
この文章を打っています。
その映画は「世界の中心で、愛をさけぶ」です。
いや、この映画を見ての感慨っていうのは正直、大してないんです。
だって、ついさっきまで、俺、現実にそういうがんの病院にいましたし。
映画はお話の世界ですが、こちらは現実でしたから。

それから。あの映画の撮影、友達の家の前でやったんですよ。
「H原、はよ鴨川ホルモーの本返せ。」 
失礼いたしました。ちょっと思い出してしまったもので。(笑)
それから謙介が毎日の通勤する時に通る路面電車の停留所も映っています。

どうしてセカチューを見ているか、というと
確かあの映画のヒロイン「亜紀」も亡くなるときに、確か
「(わたしが死んで)忘れられるのが恐い。」と言っていたよなぁ。
って思い出したんです。
そう結婚衣装の記念写真を撮るときです。
そう思って映画を見ました。
確かにそう言っていた。
そうそう、と思いながら久しぶりにこの映画を見ています。
防波堤を走る大沢くんの後ろに、俺が学校を出て働くように
なって、赴任して3年間過ごすことになった島が映っています。

今まで過ごしてきた時間。
出会ってきた人。行った場所。
それらはみな忘れているのではなくて、単に膨大な記憶の中で
たまたま埋もれているだけの気がします。
何かの拍子にその光景が浮かんできて、はっ、とすることだって
あるじゃないですか。

今日はお彼岸のお中日。
亡くなった人の魂が、この世に戻ってきていて、
その人たちのことを憶う日でもありますね。

まだ今から病院に行っていた間に滞っていた
さまざまなことをしていかなかればなりません。
でも、それがいいのです。片づけをして
ものが動くということは、俺にとって、「生きている実感」
を与えてくれます。何かを変えていく、ということ。
それは生きているからこそ、感じられるものなんです。

とはいえ、
身体のこともあるので、ぼちぼちとやっていこうと
思います。
ですが、まずははげましの言葉をかけてくださった
みなさんにお礼を、と思ってこの文章を書き上げました。
本当にどうもありがとう。
また、ゆっくりと歩いて行くことにします。


(今聴いている音楽 (必然的に) 平井堅歌 瞳を閉じて)

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Comments

 ご無事の退院,おめでとうございます!
 少し哀しい小説の後の吉報に,しんみりしたかと思ったらにっこり。

 財務省についてはいろいろもの申したいこともありますが,差し控えさせていただきます(苦笑)

 これからもぼちぼちと,マイペースでいってくださいね!

Posted by: Ikuno Hiroshi | 08. 03. 20 PM 11:50

---Ikuno Hiroshiさん
お言葉どうもありがとうございます。
こんな時間に起きていて、しかも静かな部屋でいられる幸せ。(笑)いえ、片付けとか洗濯ものを畳んだり、なんてしていたら、こんな時間になってしまいました。
ブログ拝見して、源氏物語のサイトに早速アクセスしてまいりました。謙介は、大学の時、中古文学のセンセイが好きでなかったので、源氏を避けてしまったのですが。(笑) それでも、、あれは、、ムチャクチャですね。ホント突っ込みどころ満載だと思いました。
あ、まだ慣らし運転ですから、もう寝ます。本当にどうもありがとうございました。

Posted by: 謙介 | 08. 03. 21 AM 12:12

退院とりあえずよかったです。なにより、耳栓が必要な騒音からのがれられたのが、
プチよかったです。

肝炎の治療でお金がでないって、こまりものですね…。う〜ん、日銀の問題といい、ほんと、いよいよ沈没しそうな国になってきましたね…国民、めちゃくちゃにされそうって…心配してます…(すでにかきまわされてるけど)。
医療だけは、最低、お金のかからない状態にしておいてほしいですね…。

Posted by: holly | 08. 03. 21 AM 11:43

---hollyさん
こんにちは。お見舞いの言葉、どうもありがとうございます。静かな日々が戻ってきました。それからなんだか病院のベッドの上で社会勉強もできてしまいました(笑)
 年金もそうですけど、国民の暮らしに直結することですし、それに事態が急に起こったのならいざ知らず、前々から、こうなる、ってみんな言ってて、そうなった、っていうようなことが、多いじゃないですか。日銀の総裁もそうですし。何か先を見通した大きな方針がないまま、その場その場をしのいでる、っていうような感じしかしないですね。ホント、もうちょっと何とかしてくれよ、って真剣に思います。

Posted by: 謙介 | 08. 03. 21 PM 3:28

退院、おめでとうございます
お彼岸に入り、過ごしやすい季節になってき
ましたが、まだまだ朝夕は肌寒いことがあり
ますので、くれぐれもご自愛くださいませ。
ブログのほうも、ぼちぼち、どうぞ無理なさ
らずに。

Posted by: mishima | 08. 03. 21 PM 8:44

---mishimaさん
 お見舞いありがとうございます。
 退院したら、あれを食べたい、これも、、、とつい入院中の思いが募って(笑)昨日は好きなものばかり食事、食べてしまいました。おっしゃるとおり、ぼちぼちとしばらく慣らし運転でまいりたいとおもいます。のんびり、春風駘蕩でいきたいです。

Posted by: 謙介 | 08. 03. 22 AM 12:11

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