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08. 02. 12

ちりとてち、のようなもの

ただいまBK(○HK大阪)でやっております朝の連続テレビ小説、
ごらんになってはりますか?「ちりとて、、」(笑)
朝のテレビ小説やなんて、もうあんなもん、この忙しい時期に
辛気くそうて見てられへんわ、とおっしゃる方もおいでかもしれません。
ですが、映画作ってはる、脚本書いてはる、
というような映画の現場の人からは、存外、あれはよろし、とか
話がようできてる、朝から泣かされた、
というようなおうわさを聞いております。


はてさて。
このドラマのタイトルの「ちりとて、、」ですが、
一体あれは何かご存知ですか?
落語の中では「長崎名物ちりとて、、」と言う名前で
出てまいります。


「え? 長崎名物? 」
「長崎名物と言えば、皿うどんにちゃんぽんに茂木の
びわゼリーにカステラに、佐世保バーガー。」
「あんた、食いもんばっかりやないか。」
「そんなことあれへん。ミワアキヒロ大先生にフクヤママサハルに
サダマサシかて知ってるで。え、、っと、あ、それから。」
「それから何や。」
「えぐざいるで歌、歌うてるかたっぽの子。たかひろくんか、
あの子も長崎や。佐世保言うてたわ。」
「何や、こまかいことよう知ってんなぁ。」
「イケメンはちゃんと覚えてんねん。」
「ハハハハハ。」
「そやけど、ちりとて、、なんて全然あらへんやないか。」
「そんなもの、長崎名物にあるかいな。」
「ないの? ないのに、長崎名物やなんて。それ人
だましてんのと違うのか? 」
「そやねん。あのな、あの話、最初はご隠居さんの誕生日のお祝いで、
知り合いの人にご馳走する、という話やってん。」
「はぁ。」
「ご隠居さんがいろいろご馳走出してくれんのんを、
その人は目先のきかはるお人でうまいことおべんちゃら言うて、
ご隠居さんを乗せはって。出てくるものおいしい。
いや、これは珍しいものを、長生きできる、というようなことを
次々ご隠居さんに言わはるもんやさかい、ご隠居さん、
すっかりご機嫌ようなってしまいはって
後から後からいろんなもの出してくれてん。」
「あ、ええなぁ。いっぱいごっつぉ食べられて。」
「そやけどな、このご隠居の近所に住んでるやつが、
また、あまのじゃくみたいなヤツでな。ご隠居さんの
出してくれる料理やお酒に
片っ端からケチつける。お酒を出したら、こんな酒、まずいの、
しょっちゅう飲んでるの、とか言うし、うなぎの蒲焼出したら、
うなぎなんか食べ飽きてる、とか言うし。
おべんちゃらのひとつも言うたら、出す方かて、ほんなら、これもお食べ
って出してくれはるのに、まずいの、しゃあないから、もろといてあげるの、
というから、ご隠居さんこんなヤツにメシなんかやってもなぁ、、と思う。
な、人間愛想が大切や。日ごろから愛想ようにしといたら、
あ、アイツに、これ食べさせてやろ、とか言うことになって、
余禄がもらえるやらしれへんのに、片っ端からケチつけるよって、
ご隠居さん、怒ってしまわはった。
で、ご隠居さん、この際や、て考えはってん。
たまたま水屋(食器棚)見たら、豆腐が食べ忘れて、それも
カビが七色に生えてんのがあって。」
「え? 七色のカビの豆腐?」
「その豆腐をな、よくかき混ぜて、わさびを利かせて
梅ぼしを入れて、更にかき回して。」
「うふふふふ。それを、その根性悪に食べさすという算段やな。」
「そうそう。」
「そいつ、しばらく家にこもっていたのに、見栄はって長崎に旅行に
行っていた、と言うさかいに、そいつにそれを食わして反応を見てやろ、と。」
「その七色カビ豆腐、わさび梅干ブレンドを。」
「ただ、名前がないとあかんやろ。それでもっともらしい名前を
つけた。たまたま三味線のお稽古してはった人がいてはったから、
ちりとてち、、とつけてみた。長崎名物ちりとて、、。」
「わーーーー。それで長崎名物が即席に出来た、というわけですか。」
「そうそう。」
「しかし、かびた豆腐ですか? 最近の殺虫剤餃子とええ勝負ですね。」
「まぁなぁ。食べるときは、ように観察してみんと
何たべさせられてるやらわからへん。」
「時にあんた、豆腐食べるか?」
「ひええ、豆腐こわい。」

          ×         ×         ×

今日、久しぶりに栄養士の友達とお昼を一緒に食べた。

その時に、やっぱり食事の話になってさ。


もう何度も食べ物の話は取り上げてきたよね。
ホテルのケーキバイキングのケーキなんて
ほとんど冷凍のものを解凍して出してるだけだし。
回転寿司だって安いところのは、全部冷凍だし。
ケーキだって、冷凍のお寿司だって、銅板の
上に載せておいたら自然解凍できるから。
それを解凍して出しているだけだし。


で、そのケーキはどこで作られているの?
となったら、販売者名・住所は明示するけど
製造場所は書いてなかったりする。
だからホテルなんとかのケーキは
どこかの下請けの工場が作ってる。
そんなことなんて十分ある話で。
だって、ホテルの宴会用のお寿司は
ホテルの近所のお寿司屋さんの出前だからね。今時。
そんなもの、ホテルでなんて作ってません。

だけど、販売者はホテルだからさ。(笑)
製造所は書かなくていいから
どこで作ったのかはわかんない。

みかんジュースだってお話したよね。
運ばれてきたみかんを薬品で皮を溶かして
今度はその薬品を中和させるために、みかんに別の
薬品をぶっかけて中和して。
それを絞ってジュースを作って煮詰めて200パーセントの
濃縮果汁にして。ドラム缶で屋外に保存して。
夏になったら水で薄めて100パーセントに戻して出荷する。

栄養士の友達の言ったのは、自分で作らずに外食
をする、というのは、極端に言ったら、食べ物の安全性を求める権限まで
他人任せにしてしまうことになるよ、ということだった。
まぁね。栄養士さんなんて自分で料理を作る、っていうのは
全然苦じゃないから、そこまで言えるのかもしれないけど
自炊が嫌い、っていう人もいるしさ。
仕事の関係で食事の支度なんてなかなかできない、
っていう人だっているし、自分で全部作る、っていうのも
なかなか難しい。(場合だってあるよね。)


とはいえ、自分の口に入れようと
するものについて、よく考えてみるようになる
ええ機会やわ、という話をしていた。


だから、いろいろな種類のものを食べて
リスクを分散させる、のが一番現実的ねぇ、(笑)
というところにやっぱり落ち着いた。


落語に出てきた「ちりとて、、」は食べたくもないけれど、
俺も話をしながら、自分の食べているものを
もうちょっと注意して見なくちゃいけないなぁ、
ということを思った昼の食事だった。

(今日聴いた音楽 One Love Woderful World 歌 平井堅
 2002年)

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Comments

ちりとてうんちく、勉強になったー。『酢豆腐』という落語もあったなー。腐って酸っぱくなった豆腐と、これは酢豆腐や、って言って食わせるという噺。

食べ物に目を向ける、というのはJean de Tokioとしては生涯テーマでして、そういう意味では、外食って本当にしないんだよね。いや、しないって、するけど、それは『食べ物の安全性を求める権限まで他人任せにしてしまう』という謙介氏の友人がおっしゃるように、そこを認識した上で(何があっても仕方無いという覚悟の上で)というところはあるかな。

でも日本人て相変わらず単純だね?餃子餃子言うてるけど、餃子だけじゃないわけじゃん。もっと大きな視点で食を考える時がきてるのではないかなー?

ところで、謙介氏はどこの人?(何県?)

Posted by: Jean de Tokio | 08. 02. 12 PM 11:53

----Jean de Tokio さん

Jean de Tokio さんはそいう流儀なんですね。今の世の中、外食を全部やめ、っていうのもちょっと難しいかもしれませんから、極力減らしたい、というところがまぁ現実との妥協線でしょうか。(笑)ただ俺の場合、外食って味が濃すぎるんですよ。外で食べたらやたらノドが乾く。お寿司のお砂糖なんかでもホントどんだけー(笑)っていうくらい入ってますしね。だから、外食はすると身体がちょっとなぁ、、っていうこともあって俺もなるべくはしませんねぇ、、。え? 家ですか? 家ははぁ、まぁ、、あ、おやなんだか眠くなってきたぞ。(棒読み)それでわ、おやすみなさい。(笑)

Posted by: 謙介 | 08. 02. 13 AM 12:06

いや、下心は無いんで。
参考資料としての問いでした。
>どこの人?

そう、日本人は砂糖を料理に使い過ぎるとも思う。
物資が乏しかった時代の反動なのか?

美味しいもの=甘いもの、これは、
旨いもの=甘いもの
(お母さんの最初のおっぱい、
初乳って苦いんだけど、次に甘くなる、
これを旨いと認識するわけさ)
の理論としては正解なのだけれど、
それ=砂糖たくさん、
ということではないものね。
カボチャを煮るのに
砂糖をたくさん入れる人がいるけど、
ほんの少しの塩で煮れば
あんなに美味しい甘みが十分引き出せるのに!!!


Posted by: Jean de Tokio | 08. 02. 13 AM 1:11

食の安全は今問題になってますよね。
実は僕、調理師で…。
高校で免許とったんです。香川の公立で唯一なとこです。
って、そんなことはどうでもいいですが…。


食品偽造はもちろんですけど、添加物も本当に安全かどうか分かりませんからね。
AとBっていう添加物があって、AもBも一つずつ安全確認されてるけど、AとBを合わせたとき本当に安全かって言われたら、それは確認してないから本当は有害なのかもしるないんです。
安全なものと安全なものは安全らしいっていう根拠らしいです。


学校の給食も野菜は塩素に浸かってますし、店の料理だって冷凍食品を使ってますから。


安全を極めるなら家で作って食べるしかないんですかねぇー。


こんな仕事しながらこんな事言っちゃほんとはだめですけどねー。笑

Posted by: alf | 08. 02. 13 AM 4:54

「食の安全」に関しては、
私もちょっと考えがあるのですが、
まぁ…なんて言ったらいいのか、
ちょっと言葉を濁す表現になるかと思うんですが、
外国産に疑って、国内産を見直すという動きは、
日々市場価格と家計を考えて購入する人にしてみれば、
とても難しい問題になると思います。

国内産を望めば望むだけ価格は高騰します。
安さには叶わない部分もありますから、
外国産を排除することはできないのではないのでしょうか…。

自給率は下がったんじゃない、下げられたと考えています。

Posted by: ヒシ | 08. 02. 13 PM 6:34

----Jean de Tokioさん
あのね、場所なんて、もうバレバレみたいなものではあるんだけど、それでも一応伏せているのはね。俺は国文学のある学会に入っているんだけど、その学会全部で日本国中に会員が400人しかいないの。それでも東京とか大阪は結構人がいるんだけど、俺の住んでる地域に限って言うと、俺を含めて2人しかいないわけですよ。そんなもの、俺がその学会に対して何かを書いたら、どちらか、なわけだからすぐに誰か、ということは特定できてしまう、っていうことになる。田舎って、人口が少ないから、匿名性を保とうとすれば、ものすごく気を遣わなきゃなんない。ネット社会は確かにこうしてJean de Tokio さんに知り合えた、というようないい面もあるけど、恐い面だってあるわけで、それでね、そういうことはちょっと伏せているということです。
話は変わって、外食って、本当にどれもこれも味がきついですよね。だから確かにインパクトがある味ではあるけど、すぐに食べ飽きる、っていうことにつながるように思います。何か自然の味を生かす、っていうのが、できないんでしょうかねぇ、、。
あ、それから、手のほうはいかがでしたか? ずっと気になっています。

Posted by: 謙介 | 08. 02. 13 PM 6:50

---alfさん
調理師さんでしたか。いいなぁ。そういうふうにちゃんと手に技術を持っている人、って。俺ね、前にも何度か書いたんですけど、職人さんとか、調理師さんもそうなんだけど、手仕事の技術を持ってる人、すごく憧れなんですよ。うらやましいですね。
そうですよね。スーパー行ったらサラダ用のカットした生野菜なんて売ってますけど、何でカットしてずいぶん時間が経っているのに全然変質していないのか? 普通なら野菜を部屋に放置しておいたら、しなびていきますよね。でも色もかわっていなければ、しなびもしていない。変ですよね。
いやもう今の世の中、食べ物だって分からないことだらけではあります。うちの大家さん、農家なんですけど、天候が不良だった年は、作物が病害虫で枯れないようにするために農薬かけまくりよ、なんて言ってましたし。俺も毎日田んぼや畑の中を通勤しているので、作物がどんなふうに育って、どんなふうに世話をされているか、多少は見ているつもりです。ですから、スーパーで、これはあんなふうに出来るから、ちょっとなぁ、、なんていうことも想像できたりします。だけど、今の世の中、もう仕方ない、という気がします。そうだったらそうで、いろいろなものを少しずつ食べて、リスクを分散させるしか方法はないように思うんですよ。

Posted by: 謙介 | 08. 02. 13 PM 7:01

---ヒシさん
本当にそうですね。外国産、って農作物とか海産物、っていうふうに直接分かるものばかりじゃありませんもんね。うどんの小麦だって、オーストラリアからですし、魚なんて、中国からはじまってノルウエーとかマダガスカルとかトルコとか、スーパーで原産国表示を見て、はて、これはどこ? とオフクロとしばらく考える、なんてこともあります。うどんだって味噌・しょうゆからスナック菓子、ファストフードの食べ物まで、いまや国産原料では、無理ですよね。ですから、そういう外国のものも考えながら、どう取り入れるか、っていうことを考えておいたほうが現実的かもしれませんね。 ですが、ちょっと前まで、今後は、農家の補助金を大規模の営農集団しか与えない、とか言っておきながら、去年の秋辺りから方向転換して、小規模でも有力だったらあげる、っていうことにしたようですね。まぁこんなふうに国の農業政策に長期的なビジョンがなくて、朝令暮改みたいなことをやってるから、こんなふうな結果になってるんだ、という気がします。霞ヶ関のお机の上で考えるばかりしているから、さっぱりダメになってるんじゃないですかねぇ。
何かそんな気がするんです。

Posted by: 謙介 | 08. 02. 13 PM 7:21

なるほどー。400人なら、ヒマ人やったら調べるわなー。

一月ほど前、(うちの日記ににも書いてるけどhttp://jeandetokio.blog29.fc2.com/blog-entry-53.html)年上の女ともだちに、1万ウン千円のフレンチをおごってもらったんだけどね、ああいう料理も、まあ珍しい食材もふんだんに使われていて、不味いわけはなかったのだけれど、こちらは逆に、塩気がなくて。
確かに、あれだけのコースだと、かなり薄味にしとかなきゃ途中で飽きてしまうのだと思うけれど、薄味過ぎるのももったいない。ええ塩梅、というのは難しいもんですねー。

手首は、今日のレントゲンで、やっぱりヒビでした。
回復は順調らしいけれど、積極的に手首を使うようなことはあと3週間は控えなさい、とな。泳ぎたいし、レザークラフトやりたいのに。ぶぶぶん。

Posted by: Jean de Tokio | 08. 02. 13 PM 9:19

↑なんか変な投稿になってしまってるー!ww

Posted by: Jean de Tokio | 08. 02. 13 PM 9:21

----Jean de Tokio さん
コース料理とか、お茶の懐石料理でもそうですけど、どこにどういう素材でどんな味の料理を持ってくるか、っていう組み立てが難しいでしょうね。味わいの変化とか、流れとか、、。
 あ、ひびでしたか。3週間ですか。あれこれいろんなことをしたいのに、その時間はちょっと辛いですね。俺も高校の時、交通事故で頭蓋骨にひびが入って1カ月入院したことがあったけど、あれこれしたいのに、、その気持ち、よく分かります。だけど、Jean de Tokio さんのことだから、そうはいいながら、何かおもしろいことを見つけて、絶対何かしそう、と謙介は踏んでいるのですけどね。(笑)

Posted by: 謙介 | 08. 02. 13 PM 9:44

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