着物
こないだの連休中、実はずっと前から気に
なっていて、できていなかった着物の点検を
やっとすることができた。
たんすから、どっこいしょ、と出してきて、
状態を見る。
なんで着物の点検か、というと、そろそろ防虫剤で
入れてある樟脳(しょうのう)の効き目が切れかかって
いたから。
着物って、絣(かすり)や浴衣だと木綿糸(もめんいと)
だけど、そのほかのたいていの着物って絹糸で
織られている。
(一方で洗濯機で洗えるウールとか化繊の着物と
いうものもありはするけどねこれはこれで便利なんだよ。
化繊の安物だから、少々汚れたって、無理したって
洗濯機で洗ったら楽勝だし。)
何せシルクだからさ。それで着物は高くなるんだよ。
で、やっぱり天然繊維だから、時期時期のそれぞれの
メンテナンスを細かくやっていないと、たちまち虫が
発生してその虫が、着物を食べてしまって、ところどころに
虫食いの穴ができたりする。
もうこうなると、ちょっとねぇ、、ということになってしまって、
着られなくなる。
だから結構まぁそんな手間が面倒といえば面倒。
だけど、車と同じで、そのメンテナンス自体だって
楽しい、といえば楽しかったりもするわけで。(笑)
それで前に入れた防虫の樟脳が切れかかるのが、
12月ごろだったので、急いでいつも謙介が行く、
委佐子のスーパーに行って、樟脳(しょうのう)を買ってきた。
着物用の樟脳なんて、
たいていのスーパーに置いてあるんだよ。
たんすに○ンとか、ああいう衣類用防虫剤の
ところにあるんだ。
そんなもの、見たことない? かもしれないね。
だって着物なんて全然関係ないだろうから、
たとえ売り場にあったとしても
目がいかないだろうし。
ちょうど委佐子の店に行ったら、1月1日から15日まで、
和服用樟脳が安くなってた。やった、と思って思わず
二箱買ってしまった。
日曜のお昼。ご飯も済んで、早々にたんすを開けていく。
着物は畳紙(たとうし)というものの中に一枚ずつ入れて
保存している。
まさか、虫は来てないだろうな、、とは思いながら、
一枚ずつ見ていくことにする。
まずは一番気になっていた、紋付の羽織から。
謙介、ずいぶん前に紋付羽織袴、一そろい作ったんだ。
学校出るときの修了式もそれで出た。
と、こんなふうに着物を引っ張り出してメンテナンスをしてる日って
成人式の日だった、とその時になって思い出す。
だけど、正直言って一体あれは何だろう、って思う。
蛍光色の羽織袴に、付け爪をして振袖を着た連中。
あれでいいと思ってるのだろうか?
「正式」を知らずに、「異端」だけ愛でると、、
でもまぁ、姉の言うようにそこまでさえも思い至らないから
あれで済ませていられるのかもしれないけれど。
学校を出るとき、
知り合いの呉服屋さんが、こういう機会に作っておいたら、って
言ってくれたので。そういう機会でもないと逆に作る
なんてことないだろうし、、って思い切って紋付袴を作った。
うちの家紋は梅鉢なので、畏れ多いことに天神さまと同じ。
なんだか歩く天神さん、という感じで。(笑)
紋付の生地は羽二重というとてもやわらかく、重い、しっとり
とした生地なんだ。
広げてチェックする。 どこも、異常はないようなので、
ホッとする。
広げると、こんな感じ。
で、こっちが袴。
紋付羽織袴なんて、着る機会がないじゃないか、って
言うかもしれないけど、機会がないんじゃなくて、
機会はどんどん作らなきゃ。
洋服だと、昼間の礼服はモーニングだし、
夜はタキシードでしょ。(まぁねぇ、最近ずいぶんめちゃくちゃに
なって昼間からタキシード着てる、っていう人も見かけるけど。笑)
でもまぁ、着物だと、紋付羽織袴が第一礼装だから、
昼でも晩でも、これでオッケーだし。(笑)
外国人とのパーティがあったら、もちろんこれ着ていきます。
なんたって民族衣装だもん。
日本人に似合わないはずがない。
で、これが白足袋。
足袋はいつも京都の分銅屋さんで。
ここの足袋は、ちょっと細身なので、足元がすっきりして
見えるのがいい。
写真にはありませんが、草履は祇園のゝ屋 さん。
次は紬(つむぎ)の着物。
紬っていうのは、たとえば鹿児島の奄美大島で作られる
大島紬なんて、一着で2000ccクラスの車が一台買える
ようなお値段がするような着物。
とりわけ大島紬はものすごい手間と
労力がかかるから)
だけどね、紬っていう着物の格って本来は低いんだ。
正式の場所には着ていけないの。
正式の場所に来ていけるのは「お召」と呼ばれる着物。
これだと洋服で言えばスーツ。紬はとてもカジュアルなもの。
なぜかというと、基本的につむぎっていう生地が
「余った糸をつむいで作った、間に合わせの着物」だから。
洋服で言えば、ジーンズにネルシャツ程度のものなんだ。
ところが、格付けは、ジーンズにネルシャツなのに、
大島みたいに一反のお値段が、200万円とか言ってたら、ばかぁ、
って言いたくもなるけどね。(笑)
普段着に200万って、最高の贅沢
ではあるけどね。
この値段は、まだ縫ってなくて反物の段階で
その値段。後、縫ってもらうのだったら、裏地を買ったり、
縫う人を見つけてきて、縫っていただく値段を交渉して、、。
もっとお金がかかってくる。
謙介は大島なんて、買えないし、第一買いませんってば。
紬なんて元の位置づけが、そんなカジュアルなものだし。
なので手軽に着られる値段のものを選んだけどね。
紬その1
紬その2
これも、一応、布目とか、いろいろな部分を点検してみる。
ふう。大丈夫そう。
後、かすりの着物と浴衣が二枚あるのと夏物の紗の着物が
あるんだけど、こちらは、まだ大丈夫なので省略。
ということで、着物は外に出して、風を通し、たんすの箱は
外に出して陰干しして、これも風を通す。 しばらく外に置いた
後、たんすの箱を部屋に入れて、
着物たんすの四隅に、樟脳を入れて、もう一度着物を畳んで
畳紙に納め、箱に入れて、さらにたんすの定位置に入れて
終了。
着物っていうと、夏の浴衣だとみんな結構興味が
あるようなんだけど、
どうもお約束ごとがあるから、って思ってるからかなぁ、、
それともはたまた敷居が高いのか
着物、っていうところまではいかないんだよね。
あ、それからメンテナンスが面倒か。(笑)
でもまぁ、最初にも言ったけど、着物は絹糸だからさ。
何たって「シルク100パーセント」の衣類だもの。
ゴージャスな気分になれるよ。(笑)
衣擦れの音もいいし。
東京だとさ、浅草寺の西に確か男もののリサイクル着物の
店もあったし、そういうお店に行って、自分はこういう着物を
着たい、とか希望を言いながら、試してみる、というのも
いいんじゃないか、って思うけどね。その辺から入ったらいいのに。
月曜日、郵便受けにオフクロがたまに行く
呉服屋からのダイレクトメールが来ていた。
あけて見ると、この土日(1月19・20日)
例の「どんだけー!」の方がその店に
来ます、とあった。
「なにするの? 呉服屋で? 」ってオフクロが言うから、
「あの人、スタイリストやよって、
着物のお見立てしてくれはるのんと
違う? 」と答えておく。
その店、結構人集めで、俳優さんとかをよく
呼んでくるらしい。林与一とか杉良太郎とかも
前に来てたとのこと。
で、今度はその続きで、今年はいっこーさん
だって。
謙介は、別の用事があるから行かないけど。
「どんだけー!」さんを見ようとして
どれくらいの人が集まるんでしょうか。
はてさて。
× × ×
今日も仕事場での話。
新聞広告に、通信講座のパンフレットが入っていた。
おだゆーじの後、玉木くんになったあれですが。(笑)
同僚が、「書道講座とかペン字講座ってあるよ。
こういうの、やってうまくなるの? 」って俺に質問してくる。
うまくなるの、って聞かれましても、、ちょっとこの手の
質問って、返答に窮するよなぁ。習い事って、
個人差が大きいし、、指導法と本人の適性に
合う合わないがあるし。
ただ、ペン字講座はいいんだけど、
俺、書道講座はおススメはしない。というか
はっきり言うけど、止めたほうがいいことだけは確か。
なぜって、答えは簡単よ。
書道の字の直しって、筆づかいの修正でもあるわけさ。
直されて戻ってきた朱の入った、字だけを眺めて見ても
何の勉強にもならないもん。
先生が、ここはこう書くの、って、目の前で書いて
いるところを見せて、生徒はそれを見て、筆先の方向とか、
角をどういうふうに筆づかいをして方向転換させるとか、
そういうのを学ぶ。 実際を見て学んで行く。
ところが、通信講座の書道は、それが
全く出来ないじゃないか。
ペン字はいいんだ。ペンなんて、
いつも形状とか性質が一定だから、
字の形だけを見て直せばいい。だけど、
筆は字の形によって穂先が
千変万化する。カーブの時の筆、
横画の時の筆の穂先の向き、
縦画の時の向き、全部違ってる。
通信講座だと、そういうのが全く
わかんない。だから、書道の通信講座は
止めたほうがいい、って
俺は思うよ、そんな話をした。
だけど、一年の計は、やっぱりこの時期、ということで
決意をする人も多いだろう、と、だから今の時期に
こうして宣伝しているのかな。
自分も、いろいろなことがあるけれど、
気を取り直して、前を向いて
歩いていかなきゃなぁ、、。
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Comments
袴が欲しいなぁと思った時期があったんですけど、
購入機会を失っちゃって、流れに流れてるヒシです。
普段に使える紬は欲しいです。
何にも知らないから、まず勉強からですけど(笑)。
>筆先の方向とか、
角をどういうふうに筆づかいをして方向転換させるとか、
そういうのを学ぶ。
そうですね、隷書と楷書は筆の動き方が違いますものね。
書道講座で隷書をするかどうかは知らないのですが(汗)。
もっと言えば、篆書も違うし…。
講座の文字がどの古典を基礎にしてるかで、
書き方も違ってくるものですしね。
手馴れた人でも、手本を渡されただけじゃわからないって言って、
書いている瞬間を見る(ビデオとか)わけですから、
講座を選ぶ際は直接指導を受けるのが無理なら、
せめて映像があるものがいいかもしれませんね。
Posted by: ヒシ | 08. 01. 19 PM 11:03
----ヒシさん
最初紬でもいいですし、もっと身近なかすりでもいいと思うんです。一枚をもうねぇ着倒すくらい着て、それで着物を着たときの身体の動きが自然にできるようになることと、帯の楽な結び方、っていうのを覚えてしまうんです。それで、もう基本が身についたところで、ちょいグレードアップして、新しい着物、という手が堅実かもしれません。 通信講座の書道は、多分楷書・行書くらいまでなんじゃないかなぁ。隷書は、、無理ですよね。 ヒシさんは、こないだ先生のお話も伺いましたけど、そうやって実際に見て習っているんだもん。やがて上達してきますよ。そうですね。ビデオとかDVDで、ポイントをチェックする、という教材があってもいいですよね。でも、俺、友達の中学の先生に言われて、もう20年くらい前に、授業で使うから、っていうんで、中学の書写の運筆ビデオ、作ったことあるんですよ。絶対そういうのないと困ると思うけどなぁ。
Posted by: 謙介 | 08. 01. 19 PM 11:25