急な宿題
さっき、日記をアップしようとして文章を
パタパタと打っていたら
2本電話がかかってきた。
ひとつは津の友達から。
赤福の営業再開だけど、来月中にご許可が
おりるらしい、とのこと。
また、みんな「赤福ぅ、、っ!」って買いに走ることに
なるのかな。
北海道の白い恋人も、再発売後は好調らしいから
きっと赤福も、やっぱり、赤福だよねー、っていうことに
なるように思う。
だけど、あんまり広範囲には出荷することは
もうしないだろうから、
以前のように、京阪神とか名古屋から奈良、京都、大阪にまたがる
近鉄沿線の主要駅のキオスクで、っていうようなことは、
ひょっとしたら無理かもしれないねぇ、、。というようなことを話す。
じゃあね、って切って、またパタパタとキーボード打ちを
再開していたら、また電話。
「あのなぁ、、」と、いきなりでございます。
「は、はい。」と硬直緊張するおいら。 電話は大学の時の
史学科のほうの恩師から。
学部で古事記・日本書紀を専門にしていたために、
国文と史学の両方の先生の指導を受けてたのでね。
もうねぇ、そのセンセイいつものことなんだけど、
「もしもし」もなければ、「○○です」も、なくて。
いきなり、「あのなぁ、ちょっと~ 調べてくれへん? 」
といういつものパターン。
「はい、なにを調べたらよろしいですか? 」
「万葉集の中でな、旅立つ女の子の旅路の行方を、
気にかけた母親の歌ってあったと思うねんけど、
あれ、何番の歌やったやろ。」
「え、ハイ。」
「調べてぇな。」
「はい。分かりましたぁ。」
とのご依頼。
あのね、ちょっと専門的になるんだけど、
万葉集は、全部の歌に1番から順に番号が
打たれていて、普通は、その歌の番号で
呼ばれるんだよ。(まぁ万葉集だけでなくて、古今集も
新古今もみんなそういう歌番号がついてはいるんだけどさ。)
たとえば額田王の「熟田津に船乗りせむと、、」の歌だったら
8番の歌、とか持統さんの「春過ぎて夏来たるらし白たへの、、」
の歌だったら20番歌、っていうふうに、歌番号がついてる。
で、呼ぶときは、この歌番号で何番歌、っていうふうに
俺たちは言うの。
センセイからの電話を切って、
えーっとなぁ、と記憶を頼りに調べてみる。
これが近いけどなぁ、、っていう歌が確か巻4にありはしたはず、、と
国歌大観を引っ張り出して探してみる。
国歌大観、って日本の古い和歌を上の句とか下の句で検索
できるようになっている本。やたら重い本。

で、記憶をたどって、そういえば、と思い出した。
こんなの。
うち日さす 宮に行く児を まがなしみ
留むれば 苦し やれば すべなし
センセイのご依頼の内容からすれば、これが
一番合ってるようには思うんだけど、 、、
「もしもし、○○です。」とセンセイに電話する。
「はいはい。」
「この巻4の歌が一番おっしゃった内容に近い、とか
思うんですが、、。」
「なんや、その ですが、、っていうのん。」
「それが、これ、母親が歌った歌でないんです。」
「作者は? 」
「大伴宿奈麻です。ですから、男ですね。」
「おおともの、、?」
「ええ。大伴旅人の弟です。大伴坂上郎女のむこさんです。」
「そんなら、あかんなぁ、、。 おかあさんの、を探してんねん。」
「それがセンセイ、基本的に、旅に出るのは男で、女は
大抵家に留まって待ってる、、という歌ばっかりですわ。
そやから、どうしても女の子が旅に出る、となったら、
采女とか巫女という神さんに仕える、っていう仕事で、
っていうことになるでしょうね。」 と話す。
「そうしたら、遊行女婦 土師(うかれめ はじ)はどうや。」
「あれは、センセイ、宴席に侍って、の歌ですからね。
ちょっと旅立つ女の子、じゃなくて、旅立つ男との
わかれを惜しんで、、ということになるでしょう。」
と、ここまで、調べては電話し、電話を置いてはまた
調べ、、。
結局、万葉集には、ちょっとないかも、、ということに
なって、「そうしたら、覚え違いしてんのかもしれへんなぁ。
古今集くらいまで、時代下げて、調べてみてくれへん? 」
という更なる宿題が。
「2月におくらんならん、学会誌の論文やから、
今月中に調べといてな。」ということで、宿題が出てしまったのでした。
その上に、最後に「あんた、最近、勉強してるか? 」
とダメ押しされて、、。
「勉強,,,,,,,,してますよー」
「ほんまか? 」と言ってセンセイは電話の向うで笑ってる。「まぁ
ええわ。(この一言ですべてお見通し。)
「宿題、頼んだで。」
「はい。承知いたしました。」
久しぶりに焦りまくり、緊張しまくりの電話だった。
あ、でも、宿題は、まだこれから。
ふぅ。
ため息でございます。
(今日聴いた音楽 海岸通 歌 風 1981年版 レコードから
イルカの海岸通の歌もあるんですが、風のほうが好きです。)
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Comments
息子だったら「旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽ぐくめ天の鶴群」かな,と思ったんですが・・・違いますねえ;;;
Posted by: Ikuno Hiroshi | 08. 01. 23 AM 12:55
----Ikuno Hiroshi さん
そうなんですよね。おっかさんとか奥さんが家にとどまって、息子なり旦那が用事で都に行く、とかいうのはホント多いんですけど。
あ、それから、Ikunoさん、関連で思い出したんですが、(笑)大伴宿奈麻さん、この歌を詠んだ時、広島にいたんですよ。備後国司で赴任してて、そこで詠んだ歌とのことです。 そんなことも思い出しました。
Posted by: 謙介 | 08. 01. 23 PM 10:50