歴史の勉強って暗記だと思ってる?
金曜の晩から実家に戻っている。
昨日、委佐子のスーパーの帰り、
高3の息子を持つ近所のおばさんと会う。
「うちの子、日本史が何ともかんとも、、」という話。
「ちょっと晩にでも見てやってくれません?」
ということで、高3のシュンくん(仮名)、うちの家に来る。
「何ができないの? 」って訊いたら
「年号とか、主要な事件がいつ、だったかが
覚えられないんです。」 という。
ああ、そこかぁ、、、って思う。
受験生の中に、
歴史ってさ、すぐに重要年号の暗記だ、って
思ってる人がすごく多いんだけどさ。
第一、やってる本人だって、十分気がついてる
でしょうに?
何で歴史の勉強って、こんなくだらねえこと
ばっかりなんだ、とか
年号覚えてて嫌にならなかった?
正直、そんなものは歴史の勉強じゃないもん。
それって、国語の勉強が漢字の書き取り、意味調べ、
って思ってるのと、大して違いはないんじゃないかなぁ、、。
歴史の勉強っていうのはさ、
その時代にどういう人が出てきて、
その人が、どう動いていったか。
その動きをしたのは、どういう理由でそうしたのか、
何かわけがあってそうしたんだろうから、そんな
ことをした、理由っていうのは何か?
そういう人の動きとか、理由を見て、
あ、こういうことがあったから、こうなったんだ、
って考えるのが歴史の勉強だと思うよ。
人間の動きを見ること、それが歴史だもの。
710年に平城京への遷都がありました。
712年に太安万侶が古事記を編纂しました。
720年に日本書紀ができました、
って、細切れだけ覚えたって仕方ないでしょうに?
そんな細切れの年代だけ無理やり覚えようと
させるから、必死で覚えたって、
すぐ忘れるんだろうし、
理由なく単に数字だけ脳に覚えさせようと
してるから、頭が拒否して覚えられにくいのだと
思うけど、、。
たとえば、この二つの歴史書って成立が8年しか
違ってないの。
と、いうことは、奈良のどこかで、古事記作ってる人と、
日本書紀作ってる人が同時進行でいたわけさ。
じゃあ、なんで、古事記があるのに、わざわざ
日本書紀を作るのさ?
それも似た時代に?
そういうふうに歴史って考えていかなくちゃ。
最初に歴史書を作ったのは聖徳太子だった。
だけど聖徳太子の死後一族はことごとく暗殺されて
しまって、そのときに聖徳太子の編纂してた
歴史書は、焼かれて抹殺されてしまう。
その次に作ったのは天武天皇だった。
だけど、その天武さんも、もうちょっとで歴史書ができる、
って言うときに、亡くなってしまう。
その後を継いだのは、持統天皇さんだったけど
持統天皇は壬申の乱で滅ぼされた天智天皇の娘
だったから、天武さんの作ってた歴史書のうちで
持統さんが見て、気にいらない部分を全部カットしてしまった。
だけど、日本書紀のメインの編纂は天武の息子の
舎人親王だから、たぶんおっかさんと、息子の
間でいろいろと意見の調整があったんだろう、
だけどさ、天武さんが作ったとき、80巻あったっていう元の日本書紀が
720年にできた! って言ったときは、40巻になってたんだ。
半分に圧縮されてる。
だから、記事を軒並みカットしていってる、っていうことでしょ?
古事記が712年に成立して、その後8年で
日本書紀ができてるけど、じゃあその8年何をしてた?
っていうと、その記事を削る作業をしてたんだっておもう。
どこを削って、どれを残すか、っていうことをやってたんだろう。
じゃあ、何のために? 日本書紀は朝廷の正式の歴史書
だったし、この日本書紀を朝廷の役人に覚えさせなきゃ
ならなかった。だから時の朝廷にとって都合の悪い部分は
どんどんカットした。
そのうえ、この日本書紀は、当時の
朝廷の役人に覚えさせようとして、
日本書紀講習会、なんていうことを何度もやってるの。
で、役人はみな覚えろ、って覚えさせようとした。
今と大してやってることって変わんないでしょ。
新しいシステムにバージョンアップしました。
そのバージョンアップした点の要所をレクチャーしますから
講習会を今度どこそこでやります。ご出席くださいね。
そんなこと千何百年前から日本人はやってるんだよ。
なんだかねぇ、、。(笑)
歴史なんてどんなふうに動いて、何をやったか、
っていう方向から、歴史を見ていったら、年号とか、いうの
いちいち覚えなくちゃ、って思わなくても、
自然に流れの中で覚えていくものだ、って思うよ。
そういうことを見ていって、じゃあ、今の世の中って
こうだから、自分はどういうふうに生きていったら
いいんだろう、、っていうことを考えるのが歴史のお勉強でさ、
いついつの年に何がありました、なんていうのはさ、
言ってしまえば、歴史の勉強以前のことだもんね。
なんだかちゃんと歴史の勉強に入る前にさ、
そんな年号の暗記ばかりやって、歴史が嫌い、っていうのは
ホント残念だよなぁ、って思う。
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