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07. 11. 26

After the Game(その7)

       3


「ハル、オマエさぁ、今日部活出ねえのかよ。」
クラスで唯一、たまーに話すことのある
シンジが、クロールで泳ぐまねをしながら
俺に尋ねる。


彼は写真部にいた。 こいつも学校をしょっちゅう休む。
クサレ縁っていうのか、小学校の5年の時、奴が東京から
転校してきて以来、中学、高校となぜだか
同じクラスか隣のクラスでここまで来た。
まぁ、そのせいもあって、時々話をした。
俺って、気の合わねえ奴って、パッと見たら分かるし、
そういう奴って、絶対近くにいられるのも嫌だし。
それでいえば、シンジとは、まぁ普通に話ができたし
長い付き合いみたいになってるし、、
たぶん気が合うからなんだろうな、とは
思ってるんだ。

「いや、今日の部活は出る。」 俺はパッと答えた。
「あれっ、そう。」 と彼は意外そうに答えた。
「最近は、結構 まじめに出てるんだぜ。 もうじき
地区大会だってあるしさ。 毎日トータルで
1万ちょっとは泳いでるもん。」
「ふうん。」 奴の細い目がかすかに動いたように
見えた。 何かあるのかな?
「何? 」 俺はじれたように尋ねる。
「いやあ、別に。 そういうところもあったんだ、って
ちょっと思って。 ちょっと意外っぽかったから。」
奴の答えのほうも、俺があれっ、と思うくらい
ストレートだったので、こちらも驚いた。

「俺、泳ぐためだけにガッコ来てるみたいな
ものだしさ。」
「水泳、っておもしれえ? 」
「まぁな。」 俺は、ちょっとニヤッとして答える。
「あのさ、ちょっと頼みがあるんだけど。」 そうら来た。
「何だよ。急に。」
「ハルのさ、写真を撮らせて欲しいんだ。」
「俺の? モデルか何かか? 水着のとか。」
「そんなんじゃねえよ。 泳いでいるところの写真をさ。」
「コンテストとか、何かに出すのか?」 俺は奴の顔を
正面から見た。
「ああ。ちょっとな。」 シンジもまっすぐに俺の目を
見て答えた。
「ふぅん........まぁ、シンジだったらいいよ。ほかの奴だったら
絶対嫌だけど。」
「え? ああ、 いいの? ホントに?」
相手は信じられない、といった顔つきをしながら
俺の気持ちをもう一度確認してくる。
「何だよ。 モデルになってやろうと言ってんのに。」
「いやあ、オマエのことだからさ。 山ほど文句を言った挙句、
ダメだねとか言われるかと思ってたから。」
「俺って、そんなに面倒? 」
俺なんてさぁ、そんなアタマねえしさぁ。簡単じゃねえか、
って思うけど。 
「面倒じゃない? クラスの皆さんは、そう言ってるみたいだぜ。」
「まぁ、皆さん、オリコウだからさ。いろいろとムズカシイこと
考えてるんだよ。」 チッ、 俺なんかそんな奴らとウダウダなんか
言ってられっかよ。そこまでのヒマはねえよ。 ったく、お気楽
っていうのかヒマな連中だぜ。
「まぁいいじゃん。 そういうのは放っておけば。関係ねえもんな。
なら、今日から撮るから。ヨロシクな。」
「へ? 」
「今日から頼むよな。」
「な、ってさぁ。もう? 」
「うん。もう。......だってあんまり時間もねえしよぉ。じゃあ、とりあえず
オレのほうは今から部室行って、道具とか取ってくっから。」

                             つづく

    ×          ×          ×


昨日の日曜日、午後から、近所の中学生の子が
木金と中間テストなんで、、っていうので、
国語の勉強をちょっと見てあげた。
漢文の基礎というか、書き下し文の読み方と古典は徒然草。
レ点とか、上、中、下とか。
漢文は思わず上から下に、そのまんま中国語で
読んでいきそうになったけど、あ、いかんいかん。(笑)
学びて、時にこれを習う、って読むの。いい?
で、まぁここで、孔子さんの言ってる「学ぶ」は
厳密に言えば、「礼・楽」だから、作法と音楽
なんだけどね。 そうそう。音楽の復習なんだよ。
え? 学校のセンセイは
学問、って言ってた? ハイハイ、じゃあ
学問にしとこうね。広く学問一般ね。

あ、これ湯島の聖堂やね。この近くに神田明神があって
そこの前の甘酒、、、、あいかんいかん。

えへん。
徒然草。作者は吉田兼好さん。うらべかねよしでもええわ。
おっちゃんが小さいころに住んでた、京都の右京区の
常盤というとこから、ちょっと東に行ったら
えーっと自転車で7分くらいかな。
東に行くとなぁ、
双が丘っていう三つおわんを伏せた
みたいな丘があってね。その東のふもとに
兼好さん、住んでたらしいんや。

ふん。あ、仁和寺にある法師か。
そうなんや。この双が丘の北に
この仁和寺ってあるから。
え? 今もあるの? って。
うん。今もあるよ。大きなお寺や。真言宗の
お寺やねん。
まぁ、そやから、この仁和寺にある法師、
っていう話は、兼好さんにとってみたら
まぁ、ご近所の話、っていうところやねぇ。

ここの仁和寺って、春になったら、桜の花が
きれいでね。この仁和寺って「御室」
っていうところなんで、御室の桜、言うねんけど、
花が低い位置で咲くねん。
せやから、京都で「あのお嬢さんは、御室の桜」
って言ったら、「花が低い→鼻が低い→ぶっさ(あわわわ)」
っていう意味やねん。

あ、あかんなぁ。こんな脱線ばっかりしてしもうて。
ホラ、この文章訳してみ。
そうそう。一番大事なんは
「先達はあらまほしき、、」っていう最後のコメントや。
これ、誰の意見や?
「兼好さん? 」
そうそう。それだけ分かってたらええわ。

とまぁ脱線しまくりの国語のお勉強は
3時間ほどかかって何とか終えたのだった。
ちゃんちゃん。

(しかし、彼が、中間テスト、ちょっといい点を取れるか、、どうか、、
うーん。取れたら、彼の実力やし。取れへんかったら、
教えた謙介の責任やし、、。うーん。うーん。)

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