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07. 11. 27

After the Game(その9)

「ハル、どうかしたのかよ。機嫌悪そうじゃん。」
いつもの店で俺はボーっとしてた。
ふりかえると、かんちゃんがニコニコした顔で
立っていた。


「どうしたの? 今日は早いね。 練習は? 
大会近いんだろ? 」
「別に。」
「別に、って言うツラかよ。」
「もういいんだ。」
「誰かに何か言われたのか? 」
「あーあーあー。俺さぁ、なーんで水泳なんかやってんだろ。
今までさぁ、うちの2年の中で、俺はマトモだ。マトモなのは
俺だけじゃねえかよ、なんて思って、ひとりはりきってさぁ。
バカだよな。まったく。」
「高垣に何か言われたのか? 」
「いや。--------」俺は思い出すのさえうっとうしかった。
いつもは楽なかんちゃんのことばが、今日は何だか
とても居づらい気がした。
「俺、帰る。」 かんちゃんは立ち上がった俺を黙って見ていた。


気がつくと俺の周囲には誰もいなかった。
いつもは相手になってくれるかんちゃんのところも、今日は-----
いや、居たかった。けど、居ると、それにもイライラして
しまって、どうしようもない気分だった。


駅のトイレで服を着替え、俺はバイト先の店に行くことにした。
-------ったく俺はどうしたらいいのか、どうしようとしているのか
さっぱり分からなかった。 思考がぐるぐると回って、気がついたら
そのことと、ため息ばかりを交互に繰り返しているばかりだった。

店のドアを開けると、まだ時間が早いせいか、顔見知りは
誰も居なかった。 奥のほうでマスターは電話を受けて
いた。俺は黙ってスツールに腰を下ろした。 しばらくすると
マスターがカウンターの方へやってきた。
「ハル、どうしたの? 今日は早いね。」
「うん。まあね。」
「今日、少し疲れてるみたいに見えるけど。」
「いや、大したことないッスよ。」
「別に行きたくなかったら、いいんだけど。大学だってもう
試験とかあるんでしょ。今、電話があってさ-------」


俺はここでは「大学生」ということになってる。
学校はもちろんバイトは禁止。何せ、すべてがお勉強優先の
学校だから。でもさ、勉強はできるけど、それだけの奴
多いぜ。まぁ、俺みたいなバカとは何の関係も
ないんだろうけど、さ。あーあ、もう。イライラする。
クソッ! 
俺はヤケクソ気味にスツールから立ち上がった。


                   (つづく)


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