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07. 10. 26

かんちゃんのこと(その9)

「はあっ。」 完一はベッドに寝ころがったまま、
ため息をついた。 俊之が、その声を聞いて
心配そうに彼の顔をのぞきこんだ。

「恥ずかしーー。 あ、 あのう..........」
「うん? 」 完一のつぶやくような小さな声を
俊之が受け止める。
「電気、消してくれますか? 」
「あ、ああ、うん。」

照明が消されると、部屋は月の光だけになった。
「フウッ。」 完一がため息まじりの声で言った。

「ごめんな。俺、かんちゃんを見てたらさ、
もうどうしようもなくなって........」
「いや、浅間さんは何も悪くないんです。 だって、
俺だって、浅間さんのこと、好きだもん。 そうじゃなくて、
そうじゃなくて.......」
「うん? 」
「多分、今、一度にいろいろなことがきたんで、俺、きっと
パニクってるんだと思うんですよ。 ワッときちゃったんで、
俺の気持ちの中で多分処理しきれてないんだと思うんです。」
「けどさ、やっぱ、その原因作ったのはさ、俺だろ? 」
「違うんですよ。浅間さんは、全然悪くないんです。俺、
本当に浅間さんのこと、好きだから。さっき俺、はっきりと
それが分かったんスよ。」そう言って完一は俊之をまっすぐに見た。
「そうか。」
「うん。ただ、びっくりしちゃっただけだと思うんスよ。」
「ふぅん。」 今度は俊之が力なく返事をした。
「大丈夫ですって。ホント。 へ、へ、へ、ヘックション! 」

それから完一は立ち上がった。「俺、部屋に戻ります。
明日までの宿題だってあるし。 やっぱ、しとかねぇと
マズイっしょ。」 完一は少し笑いながらそう言った。
「まぁ、な。」
「えーっと、あ、これ、俺のですよね。」完一はそう言って
服を着た。「あ、うん。じゃあ、また、遊びに、っていうか
相談に来ますから、ね。 よろしくお願いしまっス。」
「ああ、またな。」
月明かりの中で、完一は俊之に笑いかけた。 そして右手を
出す。
「うん? 何? 」
「握手。」
「ああ。」 俊之は彼の思いを込めて、完一の手を握った。
「痛えー。」
俊之は手を放すと、今度は完一の身体を思いっきりハグした。
「また来いよ。」
「もちろん。」
そして完一はもう一度ニコッと笑うと
俊之の部屋を出た。

           
                      (つづく)

    ×     ×      ×


前回の部分で「キス」を描いた。
いや、キスどころか、、、あれやこれや、と描いた
のだけど。(笑)

このお話に沿って言うと、キスもそれ以降の
二人の行為というのはお互いに相手のことを深く
思っていて、何とかして「ひとつの存在」になりたかった
のだと思うんだ。でも、悲しいかな、かんちゃんの
身体と、俊之の身体はひとつになることはできない。
お互い別の存在だから。
だけど、だけど、どうしてもひとつになりたい。
好きな相手とひとつになりたい。
そのはかない充足行為として、二人はキスをしたのだと
思うし、俊之がやったフェラだってそういう気持ちの
延長線上のことだと考えて書いた。 
書いているほうは、そういう気持ちで書いて
いるんだけどね。

前にゲイ雑誌の編集さんとお話をしていたら、
「適宜、読者サービスも入れてね。」とのご注文。(笑)
果たして読者サービスが充足されるようなもので
あったかどうかは、、よく分かりませんが。(笑)

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