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07. 10. 11

近頃おもしろいゲイ小説、読みましたか? (その3)

実は、謙介のブログ、簡単なアクセス解析がついていて、
どういうキーワードの検索で、ここに来たか、ということが
分かるようになってる。
その検索のキーワードで、毎日、そう、毎日あるキーワードが
「ゲイ小説」ホント多いよ。このキーワードで
うちのに来られる人。


この前も言ったけどさ、「あくたがわりゅうのすけ賞」の選考の
時の下読みで3割がゲイの小説なんだってさ。
しかも書いているのはみんな男なんだって。
だから下読みの担当に回す編集員は、「まーたホモ小説だよ。まったく。」
というようなことを言ってるということらしい。

ということで、恐らくカウントなんかできゃしないけど、
実数っていうのは、恐らくすごい数のゲイとか同性愛をテーマにした
小説が出てるんだろうなぁ、っていうのは簡単に想像できる。

そんなにたくさんのゲイの小説が出てる割には、
それが読んで、ああ、おもしろかった、っていう作品が
少ない。少ないというのか、滅多にお目にかかれない。

どうしたことでしょうねぇ、なんて俺は言わないよ。
そんな理由なんて、簡単に出るもん。
書いてる人間が他の人の作品とか、過去にさかのぼって
いろいろな作家の書いた小説を読んでないもん。


前に俺母校の大学に呼ばれて、少し話をしたことが
あったんだ。その時に、国文の学生さんと話したら
例えば、ナツメソウセキで卒論を書くと言ったら
ナツメさんしか読んでないんだ。
何でかなぁ、って思う。
同時代の違う作家だって比較対象しなきゃいけないんだから
読むのは当然だろうに、って思うけど。
そういう人と比べて、ソウセキの文章はどうだ、
とかああだ、とか言わなきゃなんないのに、
ソウセキしか読んでない。
だから他との比較ができないから、「たこつぼ」みたいな感じで
それだけしか分からない。


ロシアだったらドストエフスキーとかチェーホフとか
イギリスだったらジョイスとか、、フランスだったら
デュラスとか、もちろんランボーとか、
中国だったら老舎とか、、
どうなんだろう? そういう作家の書いたもの、読んでたり
するのかなぁ。
そういう中でいろんな作家の影響を受けながら、自分の文体を
作っていく、っていう作業を果たしてしているのか、どうか。
まずはそういうところ、書いてる側に自覚としてありますかね。

それからこれは悪口じゃなくて批評だ、って思って欲しいのだけど
ネットなんかで見るゲイ小説、って名づけられた作品を見たら
まだ、小説になる以前のところで止まっているようなのが
結構あるんだ。 小説じゃなくてさ、「エロ描写と状況説明だけ」っていうの。
そういうの多いんだもん。
だから俺、その文章書いてる本人に聞きたいの。
あなたはこの小説でもって、読む人に何を伝えたいと思いますか?
何を伝えようとしてこの作品を書きましたか? 

それでもって例えば、こうこうです、って、その自分の伝えたいテーマの
説明ができたらいいのだけど、そこで、うーん、って、、、言うのであれば
もうそれは小説じゃなくてエロ描写と説明だけ、っていうことに
なると思う。別の言い方したらさ、エロDVDのシーンを文章に描写しなおした
だけじゃないか。
エロDVDを、映画作品って言いますか?
それと同じことだと思う。

だから、やっぱり小説の作品と言うのであれば
多少なりともテーマ性がないと、それは単なるエロ描写と状況の説明で
しかないし、そういうものを書いたとしたのであれば、
それは小説ではない、しさ。
そういう小説を書くということについて、もうちょっと一番ベーシックな
部分の理解がおざなりになったまま、何となく自分の経験だけで
文章を仕上げているっていう気がするんだ。
だから、時々ストーリーが先走ってしまって、
読んでてものすごく不自然な箇所が見えたりする。

時々小説なんて、自分が好きなように書けばいい、
っていう人がいるんだけど、それは違うと思うよ。
俺、ゲイ雑誌に書いていたときでも、雑誌によって文体を変えるとか
テーマを大幅に変えるとかしてたもの。
○○○○なら、ガテン系とかだろうし、こっちの雑誌はまた系統が違うし、
書こうとする雑誌とか、応募する作品賞の大体の傾向を見て
それにあわせるように持っていかなきゃなんないんじゃないの?
自分が書きたいものがある、というのはいいことだとは思う。
ただ問題は、その書きたいものは、果たして他の多くの人にとって
どういう意味を持っているのか、そういう他の人の興味を惹くに十分な
ものなのか、っていう検証が要ると思うよ。
その検証をしておいて、じゃあ、みんなにこのテーマをぶつけたいの
だけど、どういうふうに持っていけばいいか、って考えるのが
文章のセンスだと思う。
自分の書きたいものを書きたいように書いてる、っていうのは
だから言い方を変えたら、文章に対するセンスがない、っていう
ことだって言えると思う。ちょっときついけど。


そういう文章が多いから、読んでておもしろいゲイ小説に
行き当たらないんじゃないんじゃないかなぁ。

もうちょっと書く側も、そういうことはきちんと身につけて
おくべきで、安易に描写だけ書いてても、それは小説とは
ちょっと、、、なぁ、、って思う。
いろんなところでゲイ小説を見てきて、
今の俺は、そんなことを感じてるんだ。


(今日聴いた音楽  夕暮れ時はさびしそう N.S.P歌
 CDは1994年版)

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