祈りと欲望と
今日は一日仕事を休んでのんびりした。
一昨日、大体仕事のメドがたったので、木曜、休みます、と言って
お休みをもらったのだ。 (慰労休暇 笑)
お昼前に買い物を兼ねて、ご近所の四国八十八箇所の札所のお寺に行く。
わざわざ、お参り、というのでもなく、近くなので、ちょっと寄った、という趣で。
今日はゆとりがあるので、お参りを済ませて、本堂脇の椅子に座って、
ちょっと休憩。
夏休みなので、やはり札所めぐりの人も多い気がする。
この時期、歩いて札所をめぐる、という人もいないことはないけど、
やっぱり過酷なので、圧倒的に自家用車とかバスとかオートバイで
っていう乗り物にのってのお参りっていう人が多い。
見ているといろいろな人がいるなぁ、と本当につくづく思う。
だけど、みんなお参りは結構あわただしい。
特にバスで来る団体巡礼客の方々はすごい。
門の外にバスが着いたと思ったら、どーっと白い巡礼装束姿の人が
わらわらとバスから降りてくる。いちばん先頭に「先達」と呼ばれる
案内の人が見える。最後に添乗員の人がいて、この人は、大きな
カバンを抱えて、寺務所に走る。巡礼の人たちは、
まず、本堂に来て、みんなでそのお寺のご詠歌や
般若心経をあげる。それからさっきの先達さんがこのお寺の由来とか
ご本尊のことを少し話をする。
その間、添乗員さんは、カバンを持って寺務所に行き、御朱印帳やら掛け軸に
このお寺の朱印をお寺の人にどんどん書いてもらう。限られた時間の中で
全員のものを「処理」しなくちゃなんないから、すごく忙しい。
お寺の人が書いてはんこを押してくれたご朱印帳を、そこに備えつけられた
ヘアドライヤーの熱風を当てて、流れ作業で墨を乾かす。乾いたら字とか朱肉が
他に写らないように、間の紙を上から軽くおいて、ドライヤーで乾かす、次、
という作業をどんどんする。巡礼団体さん一行は、本堂から今度は弘法大師を
おまつりしている大師堂に移動。ここでも同じようにご詠歌とお経を詠む。
添乗員さんは、その間ドライヤーと格闘中。(暑ぅー)
大師堂でのお参りも終わったら、それでは次の札所へ。
本当は、このお寺には毘沙門天をおまつりしたお堂とかもあるんだけど、
そういうのは全部パス。
添乗員さん、吹き出る汗をものともせず、ドライヤーをあて続ける。
やっと全員のご朱印終了。再びもとのようにカバンに全部入れて、急いで
バスに戻る。時を同じくしてお参りを終えたその団体の方もバスに。
そうして、バスはあわただしく次の札所に移動、、。うーん。このお寺での
滞在時間は15分くらいだったかなぁ。
そう思ってたら、今度はもっとすごいのがやって来た。
普通、このお寺は境内の木の枝を切るときとか、参道の工事とかという
以外、車は門の外の駐車スペースに停めることになっているのだけど
その小型のワンボックスタイプのタクシーは何と境内に入ってきて
それも寺務所に上がる石段の下に車を停めた。
徳島のB東タクシー。
そうしたら、小太りのオッサンが3名タクシーから降りてきて、
またカバンを持って、寺務所に駆け上がっていった。
身体が悪いから、境内まで車で来たんじゃないらしい。
そのオッサン、寺務所にさっきの団体さんのように大量の御朱印帖
を持ち込むと、頼んで書いてもらって、ドライヤー、というのをはじめた。
1冊や2冊じゃないみたい。オッサンは3人だったけど、御朱印帖は
10冊以上はあったんじゃないかなぁ。
それが終わると、そのオッサンたち、また車のところに行って
バタン、とドアを閉めると、さっさと発進していった。
お参りは、なし、さ。
御朱印帖を掛け軸にして売る、っていうのがあるんだけど、さ。
そういうのなのだろうか。そのB東タクシーのオッサンたち。
この人たちは、一体何のためにこうしてまわっているのだろう?
ちょっと呆れて見ていたら、今度はドッドッドッドッ、っていうエンジンの音が門前で
止まった。白い巡礼装束にフルフェイスのヘルメット。
時を同じくして別の車が止まる。定年退職でもして、その後四国巡礼を
されているようなご夫婦だろうか、ゆっくりとした足取りで、門のところで、
一礼をされて境内に入ってこられる。本堂わきのろうそく立てにろうそくを
石の大きな香炉に線香をそれぞれ立てて、それから本堂に上がってこられて
ゆっくりとしたテンポでお経を読誦される。
さっきの団体さんは、先達の方が手馴れているので、お経のテンポもすごく速くて
あっという間に終わったのだけど、この方々は、ゆっくりとした詠み方だった。
おまいりをされて、大師堂に参って、それから境内の諸堂にも参って
寺務所に。そう思って視線を近くに移したら、さっきのフルフェイスの
ヘルメットの人が、目の前に来ていてびっくりした。
お経の声からしたら、若そうな感じだったなぁ。
でもヘルメットは取らない。ヘルメットをしたまま、お経を詠む。
それから、タッタッタと階段を下りて、大師堂に行き、タッタッタッと階段を上がり
再びお経をあげて、寺務所に。
その間、ずーっとヘルメットをしたまま。
そうして御朱印帖に書いてもらって、再びタッタッタと階段を下りて、
ブルンブルンブルンドドドドドと音を立てて、あっという間に行ってしまいました。
音とともに去りぬ、だよね。(笑) 疾風怒濤の巡礼、とか。
巡礼をする人もホントにいろいろな人がいるものだ、と
改めて思ったひととき。
さて、と。
謙介も汗がひいたので、またゆっくり立ち上がると、もう一度お参りをして、
帰ってきました。
(今日聞いた音楽 ザ・ガール・イン・ホワイト 歌 山下達郎
アルバム 僕の中の少年 1988から )
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Comments
とりあえず,どんな仕方でも実際に足を運べば,慈悲深い仏様はOKを出されるんでしょう,きっと(笑)
それをもっと敷衍したら,心の中だけでの御参りでもOKということに・・・(なんだか,むじゅかちくなってきたぞ;;;)
Posted by: Ikuno Hiroshi | 07. 08. 24 AM 1:10
-----IkunoHiroshiさん
俺ね、若いときはそういうの、「けしからああん。」
って怒ったりしてたんですけど、もう今じゃ「そういうのもあるよね。」っていうふうに変わってきました。まぁ門前の小僧も意に沿わないお経でも覚えたら、、それで、、ですよね。(笑)
Posted by: 謙介 | 07. 08. 24 PM 8:36
御朱印帳の掛け軸商売もすごいけど、ヘルメットしたままってのもすごいね、犯罪者かしらって思ってしまう。
神や仏、霊にたいしての敬意がないのですね…お気の毒な方々ですね。
たぶんね、神社やお寺や四国八十八箇所の札所などを、現世利益をお願いする場所って勘違いしてる人が、そんな事するんじゃないでしょうかね…感謝の場所なのに…。
こまぅたものですね、でもさばかなくても大丈夫、自分で巻いた種は、かならず自分で刈り取る事になります、ゆだねましょう宇宙に。
合掌。
Posted by: holly | 07. 08. 26 PM 6:11
---holly さん
そうなんですよ。一体何のためにこうして四国巡礼をしているんだろう? 多分彼の中で、俺なんか伺い知ることのできない問題があるのかもしれませんが、それにしても、そうやってヘルメット脱げよ、って思いました。そうですね。あるところで自分が解決しないで逃げちゃった問題って、また何年か経って、ひょっこりと出てきたりするんですよね。それも前よりもいっそうややこしい状況で。そういう面倒になるからだから、余計パニックになったりします。最初にちゃんと前を見て対処しておけばよかったのに、、。やっぱりその場その場で、一生懸命考えて、自分のベストを尽くしておくに限るような気がしますよね。
Posted by: 謙介 | 07. 08. 27 AM 6:21