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07. 07. 24

出開帳

今日の言葉は、「出開帳」
出開帳って書いて、読みは「でがいちょう」

今じゃ、もうほとんど使われなくなった言葉だと思う。
歴史学の中でも、多分、宗教民俗学とか仏教史学っていう分野を
専門にしてた人間だったら聞いたことある言葉かもしれないんだけど。
普通はあんまり耳にしない言葉になってるんじゃないかなぁ。

意味はとっても簡単で、有名な神社仏閣が、よその土地に出張して
ご本尊さまを公開すること。ご本尊さまの出張公開。
え? そんなことってやっていいの、って? 
そんなの昔からあるんだよ。
一番有名なのは、長野の善光寺だよね。
善光寺のご本尊は、もう絶対の秘仏で公開はないのだけど
そのご本尊様の分身仏である前立ご本尊を江戸時代に
江戸、上方に出張させて公開をした。

それは、お寺の側にも、それを拝みにきた人の側にも
ものすごい効果があった。
元々善光寺は、歴史のある有名なお寺だったから、
一生に一度は善光寺参りを、なんていう意識をみんな持ってた。
だけど今みたいに、ちょっと信州まで、なんていうふうには
いかないから、行きたくたって行けない人だってものすごくいた(はず。)
そういう人たちの元に、なんと善光寺からご本尊さまが
出張してきてくれる。
もうこれはすごい朗報だったと思う。これで一生の願いがかなった
なんて思った人もいたかもしれない。
それでものすごい人たちがこの出開帳に押し寄せた。
それで一気に「善光寺」っていうお寺が人びとの中に
身近な存在になった、って思う。

人数のはっきりとしたデータはないけど、
今のあの長野の善光寺の大きな立派な建物って、
その江戸時代に行われた出開帳の
お賽銭で建てられたものなんだ。 あんな建物が建てられるくらいの
お金が集まった、ということ、それに庶民の人のお賽銭でしょ。
ひとりひとりの出す金額なんて、決して高額じゃなかった、って思う。
だけどほんのわずかな額でも人数が多かったら、ねぇ、最終的には
まとまった金額になるよね。

お寺の側には、そういう経済的にお寺が潤う、という側面がある。
それから人のほうには、お参りできた、という達成感ができる。(笑)
それとともに、広くお寺が知られるという宣伝効果だって生まれる。
そして、庶民の人たちに受入られる、ということは何代にもわたって
信仰を集めるということになるから、経済的基盤だって安定化する。
そうしたことで出開帳っていうことは昔から行われてきた。

ところが今は、「信仰」ということで出開帳は行えにくい。
だって、開帳となったら、宗教行事になるもんね。
そうすると、スポンサーがつきにくくなる。
じゃあどうするか。
ご本尊様を、美術品にしてしまう。
美の鑑賞の対象にしてしまう。
すると、とりあえず宗教という縛りは弱くすることができる。
(考えたなぁ、、。笑)

奈良の唐招提寺の鑑真和上像の展覧会、
日本各地を回ってやってます。確か今月の14日からは
九州の福岡でやってる、と思う。
あの催しが現代の出開帳ですね。
あの展覧会のスポンサーはTBS。ほら、TBSが仏教行事ばかりに肩入れ
してしまうと、報道機関としてやっぱり問題だ、ということを言われる。
だから、鑑真和上像を、美術品として鑑賞する、ということで
そういう問題を回避した、ということだろうね。

でね、どうしてこの時期に鑑真さんなのか、っていうと、今、唐招提寺が
平成の大修理をやってるんだ。はっきり言ってお金が欲しい。
そりゃ、多少は補助金が出るけど、それだけじゃ全然足りない。
その資金を集めないといけない。それから可能なら、将来にわたって
もう少し余裕の資金も集めておきたい。
で、こうした出開帳を企画した、と。
お賽銭じゃ問題だから、展覧会の鑑賞券。まぁこれが実質的なお賽銭ですね。(笑)
で、展覧会会場を見終えたら、今度は展覧会グッズ。(!)
俺も行ったけど、もう何でもお商売ね。
お線香、絵葉書はもう当然ね。
鑑真みそ、とか鑑真Tシャツに鑑真和上展のエコバックとか。

俺、散々な言い方しちゃったけど、でもこういう巡回展は、やっぱり
奈良から離れて住んでいる人間にとっては
ありがたいものね。
実際の唐招提寺での鑑真和上像の公開って、1年に数日しかないんだ。
だから、その時を逸してしまったら、また来年、なんていうことになる。
だけど、こうやって地方に来てくださって、近いところで、となると
行きやすいものね。
だから出開帳って、なかなかいい、って俺は思う。(え? 取ってつけたような
感想だね、って? 笑 )

実は、7月の7日から、9月9日まで東京上野の東京藝術大学美術館で
こんぴらさんの展覧会がはじまってる。
「金刀比羅宮 書院の美」 っていう展覧会。
こんぴらさんも、善光寺と同じでもう昔から庶民の信仰を集めていた神社だよね。
加えて、東京には、すでにこんぴらさんの東京分社があるから、
ご本尊の出開帳はしない。
じゃあ、っていうんで、
金刀比羅宮の書院のふすまを全部持ってきて見せます、
っていうことになった。
この金刀比羅宮の書院は2つに分かれていて、表書院は
日常的に拝観させてもらえることになってる。
(表は俺も何度か見に行ったことがあって知ってはいた。)
だけど奥書院は、実は一昨年、金刀比羅宮の
特別な行事があって、そのときまで公開されたことが
なくて、そのときがはじめての鑑賞だった。
俺、家族で見に行ったけど、もうね、圧倒されてしまった。

襖絵を描いたのは、表書院は丸山応挙、
奥書院は伊藤若冲。
こういう襖絵が今、東京で見られるの。
東京展のあとは、再び讃岐の琴平に戻って公開があって、
その後、パリのギメ美術館でパリ展があって
その後は再び日本に戻って、津の三重県立美術館で展示がある、って。
津の三重県立美術館は、謙介も何度か行ったことがあるけど
学芸員さんも、美術を分かりやすく説明してくれたり
子どもに絵の見方を教えるパンフレットを出していたり
っていろいろ面白い試みをやってくれてる美術館。

詳しくは http://www.asahi.com/konpira/

で出てる。 今回の展示は、朝○しんぶんが1枚かんでるんだねー。(笑)
会場の音声解説の声は、ラブちゃん(片岡愛之助丈)だってさ。いいなー。

あ、それからどうでもいいようなことだけど、東京藝大の「げい」の字、「芸」じゃ
なくて「藝大」を使うのは正しいこと。
なぜかと言うと、昔は「藝」の字しか当然なかったんだよね。
で、太平洋戦争後、簡略な漢字書体を作ろう、
って言うんで、簡略な字体を作ったんだ。
たとえば「駅」とか「沢」とか「体」とか。元は、「驛」だったり「澤」だったり「體」
だったりしたわけね。そんなむずかしい字の中に「藝」もあったんだ。
それで「芸」の字にした。
ところがさ、作った漢学者が見落としていたの。(♪)
実はこの「芸」の字は、すでに別の読みをする漢字として
存在してたんだ。読みは「ウン」。
だから「東京芸大」って書くと正しい読みは
「とうきょううんだい」という読みになる。
うんだいではねぇ、、(笑) 
だから藝大でないといけません、っていうことなんじゃないかな。
まぁ、その東京藝術大学の美術館で、展覧会はこの夏、9月の9日まで
あります。
地味目な場所の展覧会だけど、おすすめです。

(今日聴いた音楽 Knmbhira der Schutzgott der Seefahrer
 こんぴら ふねふね 演奏 ベルリンフィルハーモニー 
チェロパート奏者 1994年)


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Comments

 しかも,「芸」の字は「草切る」の意味があって,藝とは真逆の意味になってしまった・・・とか?(笑)

 ほんとに,地元の信者さんの浄財だけじゃ,とてもじゃないけど維持管理がせいぜいで,改築新築は無理ですもんね。
 出開帳は,うまいやり方だな〜と思いますよ,僕も。

Posted by: Ikuno Hiroshi | 07. 07. 25 at 오후 6:50

----Ikuno Hiroshiさん
 「芸」の字、そうかもしれません。(笑)実は、謙介、以前その東京藝○にちょっと仕事で行く機会がありまして、そこの学食でお昼をいただいたのですが、館内のBGMに、こってこての演歌が流れていて、あれま、と驚愕したことがありました。夏休みだったからもう何でもあり、で流していたのかもしれません。
 本当に拝観料だけではとてもじゃないけど維持管理だけになりますもん。加えて文化庁からの補助金なんかではとてもじゃないけど足りない。それで、やっぱり出開帳、ということになったのでしょう。
 唐招提○は特に、ほら、お隣の薬師○が、高田管長がいらしてお商売上手というか人集めがうまかったじゃないですか。それで余計に何とかしよう、って思う意識が強かったみたいですね。

Posted by: 謙介 | 07. 07. 25 at 오후 10:08

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