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07. 06. 22

近頃おもしろいゲイ小説、読みましたか? (その2)

昨日の、「ゲイ小説」なんだけど、大体あそこに書いたような
ことが重なって、作品の質がなかなか高まらないんじゃないかなぁ、って
思ってるんだ。


あ、それとね、もうひとつ付け加えるとしたら、書き手の側に
「ゲイの小説なんだから、こんな程度でいいだろう」っていう
ような意識があったら、絶対ダメだ、って思う。

何だか一番最後の詰めのところに来て、
ゲイだったら分かってくれるよな、なんていうところに
逃げてしまうと、もうそれが作品に出てしまう。


だから、読んでてあるところまでは、いいなぁ、と思っていたのに
ある部分に来て、急にガタガタっと作品の質が落ちてしまうというか、
あ、とうとうこの人、ここで辛抱が続かなくなったんだ、
って分かる箇所が出てくる。

どうしてそれが分かるか、っていうと、ある場所から急にストーリーを
端折ったり、どんどん省略して、何も語らないまま
物語が一方的に進むっていうことになるから。


物語の一番語らなきゃならない部分、表現しなきゃいけない部分を
飛ばして、いきなり「あれから○年が経った」とか言ってるの。


たぶん、書き手の頭の中では、ちゃんとストーリーは
続いているのだとは思う。けど、肝心の、一番の物語の
山場っていうところに来て、その山場の物語がスポッと抜けてることが
ある。
その部分が書かれていないの。

俺ね、思わずページその前後で確認することがあるよ。
見たら、文章はつながってるように見えたから、
あ、これは印刷の落丁じゃないんだと気づく。

それは、書き手がその山場部分を書かなかった、
書けなかった、かのどちらかだろう、と思う。

書かなかった、っていうのは面倒くさくなって書くのを
端折った、っていうことだろうね。

書けなかった、っていうのは理由が二つあるように思う。
ひとつは、筆者のイメージが深いところで成熟していなくて
表現し切れなかった、っていうこと。


それからもうひとつは、自分の内面を深く掘り下げていくから、
物語を書きながら、自分の嫌な部分と向き合わなきゃならなくなる。
その自分の中のどろどろとした部分と向きあうのが怖かった。
怖いから逃げた、ということ。
それで書けなかった。


で、そのときの言い訳として、
「ゲイの人なら、この程度でも、分かってくれるだろう。」とそこで
見切って、作品を仕上げてしまう。


もしくはゲイの小説を書いていることが「何か特別なこと」
をしている、と思って、それで本人の中には
「特別なんだから」って思う意識があるんじゃないか、
って思う。これもまぁ突き詰めて言ったら
「ゲイの作品であることに甘えてて、それだけに
なっている。」って思う。
よくゲイの人はセンスがいいから、とか
独特のセンスをしているから、っていう人が
いるけど、あれって本当にそうなのだろうか?
たまたまセンスが良かった人が志向としてゲイで
あっただけじゃないのかなぁ。
そんなの黒人ならみんなリズム感が良くって
ダンスがうまい、って思うのと同じじゃないの? 
って思う。そんなの一方的な思い込みじゃねえの、って。

俺、ニューヨーク行って、リズム感のすんごく
悪い黒人の人を何人も見て、あ、黒人だから
リズム感がいい、とかダンスがうまい、っていうのは
ウソなんだ、って知った。

それと同じでゲイだからセンスがあるんじゃなくて
たまたまセンスのある人がそうだった、
っていうだけじゃないのか?

で、そんな意識があるのか、
独りよがりの自分の周囲にしか分からないような
ゲイの主題の小説書いてさ、

だからゲイの小説でもマンガでも
ああ、これは良かった、っていうのが
本当に少ない。

ゲイの小説読んでてさ、
肝心な部分がちっとも書かれていなくて、
一体これは何? っていうような作品を読者が見てしまうことになる。


この後、この人どう書くのだろう、って思ってページをめくったら、
いきなり、歳月が流れた、、とかあってさ。(笑)
オマエ、逃げてないで、ちゃんと書けよ。とか。
読むほうだって真剣勝負で読んでるんだ。 逃げた、っていうことくらい
如実に分かってしまうぞ。読者をなめたらあかんやろ。
読んでて、そんなふうに思ったりすることあるもん。

そういうことすべては書く側の「了見」っていうことだと思う。
どこまで、書いている人間が本気になって書こうとしているかどうか。

指先だけで、ほいほいと書いた、というか打ったのであれば
所詮はそれだけの内容しかない作品で終わってしまうように思うんだ。
だからそういう書く側の姿勢、っていうこと、それをどうするのか。
そういう書く側の意識っていうのは、はっきり作品にはそれが出るよね。
俺なんかがここで改めて言わなくったって、みんなのほうがそういうこと
ずっとずっと敏感に感じてるんじゃないかなぁ。


書くという作業っていうのは、肉体労働なんだ。
頭の中だけで考えて、指先だけでキーボードたたいているんじゃないもの。
いや、外見的にはそうなんだけど、実際は、精神が総動員されるくらい
いろいろなことを考えながら打ってる。
だから文章を書いたら結構へとへとになる。
書く前には、○ニマル浜口さんのように、
気合を入れないといけなかったりするし。(笑)

まぁ、書く前に気合だ!気合だ!なんてことは言いはしないけどさ。(笑)

要するにゲイという立場に甘えないで
真剣なものを書けよ、っていうだけの
ことなんだけど。


こういう問題が、もうちょっと何とかならないと、
なかなかこれはなぁ、っていうのが出てきにくいんじゃないかなぁ。
そんなことをずーっと、そう。ずーっとここ何年も思ってるんだ。
ということで、今日は昨日の補足を書いてみた。


(今日聴いた音楽 大江光 作曲 けい子夫人のための子守歌 
 ピアノ演奏 海老彰子 フルート演奏 小泉浩 1992年
 アルバム 大江光の音楽 から )

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おげいじゅつ」カテゴリの記事

Comments

 
ゲイ雑誌に毎月のように書いてる作家さんでも

「作品のシチュエーションは体育会系とか制服系とかって分けていくと実は3パターンくらいしかなくって、それを順番に書いてる」

とかってネタばらししちゃってるヒトがいました。ケーキ屋さんでもシュークリームとかイチゴショートとかのオーソドックスなのが一番売れるっていうから、そういうエロ需要の幅も案外せまいもんなのかなあって思いました。逆に、それ以外の少数派向けとかエロ以外でってなると、なかなかマネーには結びつかないでしょうから今だと自分のブログで公開ってコトになるんでしょうかね。

Posted by: 黒須 | 07. 06. 22 at 오후 10:12

---黒須さん
 こんばんは。
 昨日、俺の出た大学の国文学科の会報っていうのが来て、来年から言語表現学科なんとかかんとか、って看板の架け替えをしますぞ、と書いてありました。今や、文学関係の学部学科は完璧に斜陽学科です。大学に行って、お文学・お文藝を勉強するのは、嫌。だって卒業しても就職口がありませんもの。だけど、その一方で、誰もがものすごく語りたがっている、っていう現実もありますよね。ホント、お話の通りだと思います。経済的にペイはしないから、とにかく語りたいから、というの現在的な状況と、日本には、元々日記文学の伝統があって、こういうのを書くのを自然に学んできた、っていう流れが合わさって、こんなブログ全盛みたいなことになったんでしょうね。
 うん。みんな語りたがっているんですよね。でも、そういう人って、小説家の書いた作品って、あんまり、ほとんど読んでなかったり、ね。(笑)何だかそんな状況なんでしょうね。

Posted by: 謙介 | 07. 06. 22 at 오후 11:26

なんだか鬼気迫る日記ですね・・・。こ・・・怖いかも(笑)。

でも、書かれていることはまったく同感ですねぇ。ゲイ雑誌のエロ小説は全然読まないし(ってか雑誌自体、見もしないし・・・)、WEB上に書いてあるエロ小説でも、萌えるのってほとんどないですよねぇ。

Posted by: まぁ | 07. 06. 24 at 오후 9:47

-----まぁさん
今回のエントリー、ちょっと「遊び」の表現が少なくて、全部こちらの言いたかったことで、押していったので、こんな文章になってしまいました。かといって、表現をやわらげたら、あいまいになってしまいそうなところもあったので、書き上げてから、何度かチェックはしてみたのですが、このままで、出しました。だけど、書いたことは前々から思ってたことです。ゲイ小説だから、一般的でなくて変わった世界を書いている。だからちょっとまだ作品の水準が今ひとつでも許される、っていうような書く人の安易な部分が、読んでるとどうしても見えてきてしまうところがあります。
 俺なんかより、この文章を読んでくださっている方は、そういうことに対して鋭敏な読み手でしょうし、まぁさんもお書きですが、そういうみたされない思いをずっと感じてて、何とかならないのか、って感じてこられていたんじゃないかなぁ、って思っています。

Posted by: 謙介 | 07. 06. 25 at 오전 8:10

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