エコが「公害」になった
このあいだ、仕事場の街のほうの民放のニュースを見ていたら、
こんなことを言ってた。
○紅、○国電力、○方町による第三セクターの「三崎ウインド・パワー」
が営業運転している同町三崎の風力発電機の騒音問題で、同社は
5日(注6月5日)夜、同町串の串集会場で地区説明会を開き、住宅の
騒音防止工事などの対策をする考えを示した。説明会には住民22人
が出席。同社が騒音調査した結果を報告し、屋外で夜間、騒音が大きい
住宅について「寝室の防音サッシと居間にエアコンを無償で設置する」と
説明した。 (R○Bニュースから)
これってね、この地区に風力発電の風車が設置されたのだけど、その風車が
もうずーっとビュンビュンと風を切って回る音がうるさくて、夜、寝られない、
っていう地区の人からの抗議が出たからなんだ。
俺の友達の家が大阪の三国、っていうところにあるんだけど。ここは阪急の宝塚線の
沿線なんだけど、別の言い方をしたら、伊丹空港への飛行機の着陸コースになってる。
彼の家の洗濯場干し場に上がって、上を見たら、斜め上くらいに飛行機の車輪が大きく
見えるの。もう、飛行機の操縦で言うと、最終アプローチっていう状態かな。
そんなところ。
だから彼の家も、空港の騒音被害のために、窓はすべて二重だし
エアコンをかけっぱなし状態な。田舎の飛行場みたいに一日飛行機が
10便とか多くても20便っていうのならいざ知らず、伊丹なんて、まだまだ
一日にものすごい数の飛行機が離発着してるものね。
一応二重サッシ、防音にはしてるけど、そんなもの、飛行機の
着陸高度によったら、うるさくて、途中で会話を中断
しなくちゃなんない時もある。そういうことが5分おきにあったりする。
実は謙介の仕事場も米軍基地への飛行機の着陸コースでさ、
何の加減か知らないけど、すごい音たててジェット戦闘機が着陸していくこと
あるんだよ。
窓を防音サッシにしてエアコンをつける、っていうのは、この大阪の伊丹空港の
場合と同じ、というふうにして解決しようとしている、っていうことだよね。
しかしさぁ防音サッシにして、エアコン取り付け、っていうのは
相当にうるさい、っていうことでしょ。
夜目が覚めたときに、ゴーゴーっていう音が聞こえて、
耳障りで寝られない、っていうことらしい。
空港とか、米軍・自衛隊の航空基地が近くにあって、それで騒音被害
っていうのはよく聞くけど、
風力発電もそういう騒音問題が生じて、何とかしてくれ、寝られないじゃないか、
っていうふうになっているって。
音って、小さけりゃ騒音じゃないか、っていうことだって
言えない場合があるよね。たとえば、暴走族の人たちが
走ってるオートバイの音。遠くで小さい音って言う場合だって
「ぶぅんぶぅんぶぅんぶーーーーーーんぶぅんぶぅん」っていう音
遠くであっても、あんなもの、耳障りで十分うるさい、っていう
人だっているでしょ。
だから騒音ってどのレヴェルから、っていう線引きは難しいとは思うけど。
まぁそれはともかく。
だけどさ、たぶん多くの人のイメージとして
風力発電って言われたら、環境にやさしい、っていうイメージじゃない?
原子力発電は、放射能をはじめとして問題がいろいろあるけど、
風力は自然のエネルギーだから空気を汚染したり、資源に限りが
ない、とか。だけど、ここにきて問題が出てる。
でね、実際にその風力発電の問題っていうのを地元の新聞とかマスコミ媒体に
出ているのを見てみたら、風力っていうのも、結構問題があるんだ、っていうことが分かった。
まず、音がうるさい。だからもともと住んでいる人に「騒音」という被害が出る。
それからものすごく巨大な風車が山の稜線に沿って何基も建てられるから
自然の景観を著しく損なう。
風車が回って、それに渡り鳥が巻き込まれて、鳥たちが叩き落されて死ぬ。
おまけにこの風車の設置されたところって、四国と九州の渡り鳥の回廊みたいな
場所で、ちょうど渡る鳥たちが多くその犠牲になっている。
海に映る影が驚いて、魚介類が逃げていってしまう。
とまぁこんな具合。
こうして見ていくと、風力発電って、原子力とは違って、
自然環境に配慮された、とか地球に優しい
っていうんだけど、これを調べてみて、
環境に配慮された、って本当なのかねぇ? っていう気がした。
だって、環境は破壊する、生態系だって壊してる。こんなことじゃ、
ちっとも地球にも人にも優しくないじゃないか、ねぇ。
で、おまけに予測から目標とされた発電量にも達していない。
だから実用にも不向き。
エコの機械のはずが、ちょっとこれではね。
こういうことって、やっぱり設置したらどういう影響が出るか、とか、
環境への影響とかっていうようなことを時間をかけて環境アセスメントなんか
をして、できる限りの調査をした上でないとねぇ。
どれくらい真剣にそういう調査をしたのだろう?
環境にやさしそう、っていうイメージだけで拙速でやったら
こんなふうなことになっちゃう、っていうことの、今後の勉強材料
だなぁって思った。イメージだけで、風力はエコ、なんて
掛け声ではじめたらしいのだけど、こういう状態で、
少なくとも地元の人たちは、腹も立ててるし、困った、って言ってるって。
エコのはずが騒音公害よ、って。
だから、物事って、イメージとか思い込みでなんとなく、、って思わないでさ、
ちゃんと現実に当たってみて、ああ、こういうふうになってるんだ、って
見ることがやっぱり大切なんだなぁって改めて思った。
うん。いい勉強になったなぁ。
それとね、思ったのは、ちょっと話が飛躍するのだけど、
オッサンになってくると、自分の意見をあまり
言わなくなる、っていうのは、こういうことなんだ、っていうことも分かったんだ。
一方の見方をすれば、風力発電なんて環境を大切にするクリーンな発電だ
って思う。けど、こちらの面ではそうだけど、また違う面を見ると、
環境は破壊する、生態系は破壊する、騒音公害は撒き散らす、
っていう別の側面が見えてくる。
若い時は、片方の面しか見ない、見ようとしない、気がつかないから、
これは××だ、って言って信じて疑わない。
だけど歳をとってきて、別の見方が存在することが分かったり、
考えにも相違がある人が大勢いる、ということも分かってくる。
そうした多面的な見方をするようになったとき、
若い時のように、「これはこうです!」って断定口調でものを言うことは
できない、っていうことに気づく。
(まぁそれを狡猾という人もいますけど。笑)
それであれこれと言えない、っていう自分に気がついたりする、、
そういうわけで、オジサンは意見を言うのをちょっと僻目で見て
ニヤニヤ笑っていたりすることもあるんだって。
それも分かった。(分かるのが遅い、って? 笑)
(今日聴いた音楽 滝廉太郎作曲 憾 [遺作]
ピアノ演奏 三浦陽一 1991年録音盤)
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Comments
風車って、科学技術のクリーンな使用例の代表だと思っていました。そうですか、煩いんですね。そこで暮らす人にとってはたまらない問題ですよね。自分は特に騒音には弱いので、想像しただけで不安な気持ちになりそうです。この、資本主義社会の中で、個人には思いもよらないような様々な思惑が、それこそ幾重にも働いての結果でのエコなんですよね。疑うばかりじゃほんとは楽しくないけれど、真実を見つめる勇気、少しがんばって持ちたいと思います。
Posted by: b-minor | 07. 06. 22 AM 1:51
----b-minorさん
俺もね、その風力発電のプラントのできた場所って、海峡の近くで、風が強いからいいんじゃないか、って単純に考えていたんですけど、実際運用したところじゃ、挙げたような問題が起こってて、単純に、地球環境にやさしい、からいいんじゃない? っていうようなことも言えない、っていうことらしいです。地域の人は、これから夏になって、夜なんか当然窓を開けて涼みたいのに、こんな音では窓すら開けられない、って言って怒ってるそうです。
ホントによくよく調べてみないと、物の本質って見えてこないこともありますね。そんなことまでも含めて、俺にとっては改めて教えられた話だったです。
Posted by: 謙介 | 07. 06. 22 AM 5:40