今読んでいる本
今読んでいる本がこれ。
おいしいハンバーガーのこわい話
著者はエリック・シュローサー
訳者が宇丹貴代実
出版は草思社
標準番号が9784794215871
ファーストフードのハンバーガーについては
断片的に、食べると問題がある、、という声は聞こえてくることが多いのだけど
じゃあ、どういう問題があるのか、っていうことはわかりにくかった。
これを読むと、こういうわけで問題があるのだ、ということが
分かった。ただ、この本はアメリカの本の訳なので、ファーストフードの
会社によったら日本向け仕様ということで、産地とかの違いは若干
ありはするだろう、ということでその部分の違いはあるだろうけど。
まずは、○ッピーセットのおもちゃから。
ちょっと孫引きになっちゃうのですが。
香港の新聞、南華早報(サウスチャイナ・モーニングポスト)
の記者が2000年に香港近郊のとある工場を訪ねた。そこでは
○クドナルドの○ッピーセット用に、スヌーピー、くまのプーさん、
ハロー・キティのおもちゃが作られている。働く人たちのなかには、
14歳の子どももいて、1日に16時間働くこともよくあるという。
(中略)ところが賃金はというと時給20セント(約25円)足らず。
そういう安い労働力でもってあの景品は作られている、という記述。
しかし、そういう雇用形態をとらされているのは、何も景品を作る係りの人だけではない。
そうしたお店で働く人も、やはり同じようなことだ、と著者は書く。
働く時間が長く、賃金は低く、医療保険もなく、きびしい規則に
つねに従わなくてはならない、というわけで、ファストフード(原文のまま)
の仕事の評判はよくない。その証拠に、内容がつまらなくて、賃金が
低くて、手に職がつかない仕事は”○ックジョブ”と呼ばれている。
オックスフォード英語辞書、アメリカン・ヘリテージ辞書、メリアムー
ウエブスター辞書には、○ックジョブとは賃金が低くて出世の機会が
ほとんどない仕事だと書かれている。
○クドナルドはそうした辞書の定義が気に入らず、わが社を正当に
評価していない定義だ、と公式に批判した。だが辞書を出版する
会社は、実際にその通りの意味で使われているではないか、と
反論している。
そういう雇用形態だったわけだ。
それからいよいよメインの食べ物のほうに話が来る。
まずはポテト。
フライドポテトの味を左右する大きな要素は、揚げ油だ。
数十年のあいだ、○クドナルドはほぼ大豆油7、牛脂93の
比率で混ぜた油でフライドポテトを揚げていた。この混ぜ
あわせこそが、あの独特の味を生んでいたのだ。
ところが、牛の脂肪は動物性油脂にあたるから健康に良くない、ということが
問題になりはじめた。すると会社はどうしたか。「健康にいい、とされる植物油の」
大豆油の中に牛の脂の香料を入れる、ということにしたらしい。
こうした香料とか着色料はファーストフードの味を決める重要な役割を担って
いると説く。
広く使われている着色料の原料は、思いがけないものがある。
たとえばコチニールエキス(カルミン、またはカルミン酸とも呼ばれる)
は、おもにペルーやカナリア諸島で獲れる小さな虫の死骸から作られて
いる。このえんじ虫(コチニールカイガラ虫)のめすは、サボテンの葉を
好んで食べるので、その体や卵にサボテンの色がたまる。このえんじ虫
を集めて乾燥させ、粉にすると、着色料になる。およそ7万匹の虫から
約450グラムのカルミンが作られ加工食品をピンク色や赤色や紫色に
染めるのに使われる。
虫から作る着色料だってさ。
いちごヨーグルトの赤とか、お酒のカンパリの赤って、この虫さんの
赤色で染めてあるんだってさ。後で謙介調べたら、まぁ出てくる出てくる。
ハムのピンクの色もそう。それから赤っぽい色のグレープフルーツジュース
があるけどあの赤もそう。 やれやれ。
まぁとにかくこの虫の死骸から作った着色料がいろいろなものに
使われている、と。しかも、原料が虫さん、だからさ、一応自然の
着色料。石油からの化学合成品じゃないものね。
で、肝心のハンバーガーの肉の原料はどうかというと、、
おまけにアメリカでひき肉にされる牛のうち約4分の1は
乳の出なくなった乳牛で、その乳牛は病気にかかっていることが
多い。○クドナルドはひき肉の多くを乳牛から得ている。わりあい
安くて、肉の脂肪が少ないからだ。現在のようにひき肉工場で
たくさんの牛の肉を混ぜあわせる状況は、O-157のまん延に
とても大きい役割を果たしてきた。ファストフードのパティ1個には、
何百頭、いや何千頭もの牛の肉が入っている。
チキンナゲットに使われているニワトリも、自分の足で立つことすらできないほどの
肥満のニワトリだそうな。しかも、そのニワトリの餌として、処分されたほかのニワトリ
とか牛とかも与えられるそうな。すべては短時間のうちに肥え太って可食部の少しで
も多い鶏肉を取るために。
そしてそういう食べ物を食べる人間の側の考えられる人間側の影響について、
著者はこう書く。
一般的に、人間には250億から350億個の脂肪細胞が
ある。健康を保つためには脂肪細胞は欠かせない。(中略) だが
過ぎたるは及ばざるがごとし。
増えすぎた脂肪細胞は、ただ何もせずに存在するだけではない。新しい血管
を必要とするし、生命をつかさどる臓器にあらたな負担をかける。
また、体内の化学バランスを崩す。増えた数百億個の脂肪細胞は、
免疫システムを助けるどころか、ひどく病気にかかりやすい体にする。
これほど多くの脂肪細胞ができてしまうと、完全になくすのは
むずかしい。ダイエットをしても、ただ縮まるだけ。がんばって
体重を減らしたのに、数ヶ月後にまたもどってしまう人が多いのは、
このせいでもある。 脂肪細胞が消えることはめったにない。
空気の抜けた小さな風船のように、しばらくしぼんでいるが、
脂肪が入るとまたふくらむ。
それから、最近は期間限定でメガなんとか、っていう商品も出たけど、
以前に比べてパティ1枚の量も格段に増えたとのこと。1957年の
ハンバーガーのパティは重さ約28グラムだったのが
今日では170グラムになった、とのこと。こうしたパティに加えて
添加されるソース、ベーコン、チーズ。たかが1個のハンバーガーで、
一体何カロリーになるのか、と著者は問う。そしてあの長寿を誇った
沖縄の食が、今ではすっかりがたがたになってしまった、と憂う。
沖縄の食の問題は栄養士の中では26ショック、といわれているの
だそうな。以前は日本で一番長寿の県だったのが、今や全国で
26番目までに下がってしまった。47都道府県で言えば、一気に
半分以下になった、と。この原因は、沖縄の人たちが
伝統的な食べ物を食べることをやめて、米軍基地を
中心とする、アメリカナイズドされた食生活をするようになったのが
その原因、と述べる。
ハンバーガーの会社は、「うちのもの食べてぶくぶく太って、
生活習慣病になったのはうちの会社が悪いのではなくて、
食べる側の自己責任だ。」と主張する。
だけど、と著者は言う。売るために手段を選ばないような宣伝を
して、何とかしてハンバーガーを食べさせよう。 売ろう売ろう、
としているじゃないか、と。
こんなふうに、ハンバーガーの生産過程、その雇用実態、また
直接摂取することによる身体的な影響について書かれている本。
しかも、読者をそういうものを食べると影響があるよ、という
小学生から中学生に充てた文体なので、やさしい表現で
書かれてあって、分かりやすい。
だけどね、俺は、だからファーストフードを全く無視、ということもできない、
って思うんだ。
前にも書いたけど、そんなふうにファーストフードからの影響を全く
排してしまえるか、っていったら、すごくむずかしいんじゃないかなぁ。
それに全部排するのも、現実的でもないでしょ。 確かに身体に
よくない、っていうことは分かってても、あ、今日はどうしても
フィレオフィッシュが食べたい気分、っていう欲求があるとき
だって起こる、と思うんだ。(それが毎日、となったら
問題だけど。笑)
だからまぁ、こういうファーストフードには、長所もあるし、またその一方で
いろいろと問題もあるよ、と。そうした両方を知っていて、その上で、
食べるときには利用することもあっていいんじゃないか、って思う。
何でもそうだけど、いいところもあれば影の部分もあるだろうし。
俺が前に飲んでた薬なんて、取り扱い説明書の最初に赤枠で
「劇薬」って大きく書いてあったもの。(笑)
身体のある部分にはよくない影響があるけど、特定の病気には
効果がある。だからそういう「両方の意味」をよく知っておいて、
食べるなり使うなりすればいい、と。
虫の死骸の着色料が嫌だな、とか訳のわかんないもの
食べさせられるのは嫌、と思ったら、食べるのよそう、って
思うかもしれない。でも、やっぱり食べたい
って思うときがあるかもしれない。
そこに至って俺ははじめてそういうファーストフードの会社の
ご主張あそばすところの「自己責任」っていう言葉が意味を
持つんじゃないか、って思うのだけど。
そんなふうにプラスマイナス両方がある、というのを知った上で、
どっちがいいか、って判断するという自己選択が
できるんじゃないか、って思う。
そういう意味で、これは読んでおいたらいい本じゃないか、って俺は思うのさ。
(今日聴いた音楽 HEAT UP 平井堅 歌 1997年)
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Comments
ほんとにねえ・・・沖縄男性の平均寿命急降下(というより大暴落)は,これから「長寿の島」で売っていこうという矢先のことだったので,ショッキングでしたよ。
・・・でも,悪い意味で「なんくるないさ〜」を発揮してしまってるようで,事態はその時と大して変わってないように思います。
10代ではガリガリ体型でも,就職して20代半ばを過ぎるともう既に腹部がぽっこり・・・なんて男,掃いて捨てるほど見かけますもん。
ファーストフードも一因ですが,売っている弁当が揚げ物だらけ(衛生上の理由で仕方ないんですが)ってのも原因の大きな部分を占めてると思います。
(大酒飲みってのも・・・笑)
あ,コチニールって昔から使われてる由緒ある色素ですね〜。・・・発癌性も指摘されたらしいけど,少量なら問題ないとか?
Posted by: Ikuno Hiroshi | 07. 06. 09 AM 12:22
----Ikuno Hiroshiさん
あ、県民性がこういうときには、「まぁええやんか。」という方向でうごいてしまうんですよね。仮に太っていても、柔道とかレスリングの選手みたいに、脂肪でないのであればいいのですが、ねぇ。ちょっとそういう感じじゃないですよね。
しかし、それにしてもこんどの○ガテリヤキなんとかは1個あたりの1000キロカロリーだそうで。聞いてびっくりというかため息が出たというか。
カルミンとかカルミン酸で検索をかけたら、もう出てくる出てくる。(笑)中にはそのエンジ虫の写真まで出てきて、思わず「これかよ。」とか思って見たり。改めて驚いたりしたりしました。
Posted by: 謙介 | 07. 06. 09 AM 9:53
何年か前にファーストフードのハンバーガーを食べ続けるとってな映画ありましたね。
体に悪そうですよね、体に悪いものは美味しいなんて言うけど、僕はファーストフードおいしいって思えないんですよね…。
安いのは、へ〜なんて思うけど、やはり安いなりの理由がありますよね。食べ物じゃなくての、お店側た企業がこまって、たたき売りしてるものは、僕は、あまり購入しません。
そこに、いろんな辛い思いをしてる人達の思いのエネルギーが蓄積しそうでしょう?笑。商品や食べ物って作り手の気持ちも買う物だと僕は思います。そのほうが同じものを買っても僕は幸せ感じます。
戦後、物質が豊かさ力になってしまったけど(今の段階の世代の人は特にそう)ほんとうは、豊かさは、物質ではなくて、そこにつぎ込まれた人の気持ちのエネルギー、心のように思います。
きれい事に聞こえるかもだけど、それは、ほんとの事のように思います。
安いには安いの理由がある。
逆にステイタスだけで高いものにも高い理由がある。
その価値観を発見して、判断してこそ、その物、物質の値段になってほしいですね、今は、やたら高い物、やたら安い物は、要注意かもですね。
体が喜ぶエネルギーの入った食物を取り込めるように判断していきたいなぁって読ませてもらって、僕なりに思いました。
Posted by: holly | 07. 06. 10 PM 9:53
----- holly くん
安い食べ物、ってやっぱり何かそれなりの理由が
あるそうです。例えば、安いはちみつ、っていうのは
はちみつじゃなくて、水あめをカラメルで(砂糖を
焦がしたもの)色付けして風味程度にはちみつを
入れてあるだけ、とか。マヨネーズにしても
バーゲンで売っている安い商品は、酢と卵と油と
香辛料以外に、やれ水あめだのリンゴ果汁だの
と混ぜ物がいっぱい使われているとか。だから
そういうので、値段を抑えて、結果安くなってる、
ということが多いみたいです。ファストフードって
安いように見えても、ハンバーガー1個だけ買う
なんていうことはあんまりなくて、あれこれと
買っていたら結局のところ結構な出費になって
いたりしますし、食べ終わって、冷静になって
値段と食べたもののことを考えたら、高くついた
その割になぁ、、っていうようなことが多いですし。
まぁそういうふうなこともあるから、、
ちょっと考えてみたら、と思ってこういうのを
書いてみました。食べ物の影響って、すぐに出ないで
ちょっと後になって身体のあちこちに出てきますからね。そういうことだってこわいですよね。
俺も本当に holly くんの書いてくださったこと、考えないといけない、って思います。
Posted by: 謙介 | 07. 06. 11 AM 5:55