« 「姉」の教えたまひし言葉 | Main | 徳島・眉山 »

07. 05. 21

これも「与謝野」る?

ちょっと前に「最近の若者ことばって分かる? 」
っていう番組をやってるのをどこかチャンネルで見ていたら
「与謝野る」っていうのが出てきた。

ほかのものはともかく、これは謙介もすぐに分かった。
たぶん与謝野晶子の代表的な歌集の「乱れ髪」からの連想で、
ヘアスタイルが乱れて嫌な状態、
っていうのだろう、っていう想像はついた。
(事実そうだったのだけど。)

でね、与謝野晶子っていうと、たいていはすぐに歌集の「乱れ髪」とか
「君死に給ふことなかれ」っていう詩が一緒にイメージとして
出てくるんじゃないかな、って思う。

じゃあ実際に与謝野晶子の歌って、読んだことある?
たぶんね、与謝野さんの歌で知られているのは、
「柔肌の熱き血潮に触れもみでさびしがらずや道を説く君」っていう歌と
「清水へ祇園をよぎる桜月夜今宵会う人みな美しき」っていう歌だろうと思うんだ。
じゃあ、それ以外の歌は? って聞かれて、知ってる?

それ以外の歌になると、乱れ髪っていう歌集は知ってても
歌は? ってなると、知らない っていう人が多いんじゃないかな。

俺もね、学校にいた時に、与謝野晶子の歌、一年間かけて何首か
ゼミで鑑賞したんだけどさ、正直言って、ものすごく難解なんだよ。
もうあまりの分かりにくさに、もういやになっちゃった。
たとえばこんなの。

汀くる牛かひ男歌あれな秋の湖あまりさびしき

ゆきずりの丁子ゆかしや明方の夢に見に来ん山下小家(やましたこいえ)

とか。
単に、その歌の表面的な意味だけでなくて、歌の背景とか、どういう状況で
作られたのか、っていうような作歌事情まで知らないと、
訳がわかんない、っていう歌だって多い。

現に最初に書いた「清水へ祇園をよぎる桜月夜、、」の歌だって
師匠だった与謝野鉄幹が弟子の与謝野晶子を取るか山川登美子
を取るかで、京都の粟田口の旅館で一晩悶着があって、もっと具体的に言うと
「私をとるか登美子さんを取るかはっきりここで決めてちょうだい。」っていう一件が
あってね、
結局晶子が鉄幹の心を射止めることになってさ。
それで2人が手を取って粟田口から清水のほうに降りてきて
晶子が歌った歌なんだ。
つまり晶子の気持ちの中に、その日は「私は恋愛闘争の結果勝利したのよ!」っていう
意識が働いていた、と。
ね、だからこそ、「今宵会う人みな美しき」なんだよ。

そりゃそうでしょうに。誰だって、自分にとってものすごくHappyなことがあったら、
別に何の関係のない向こうから来る人まで、
みーんな自分を祝福してくれているかのように見えることだってあるかもしんない。(笑)
まさに「世界は二人のために」状態だもの。
そりゃ「みな美しき」になるはず、でしょ。(笑)
だから歌の文字だけ見てて、単に「みな美しき」を解釈するのでは、
分かんない、っていうことがあるんだ。


で、与謝野さんというか結婚して彼女は与謝野姓になったけど、
元は鳳(ほう)という姓。
生まれは大阪の堺。
堺って、なんたって千利休が生まれたところでもあるから
由緒のあるお菓子屋さんが今もすごく多い。
だって晶子の家だって、そんなお菓子屋のひとつだったんだものね。

で、今日の写真は、そんな堺でも有名なお菓子のひとつ、「けし餅」
買ってきてくれた人は、心斎橋の某百貨店で買った、って。

Keshimochi1

小さな求肥のおもちの中にこしあんが入っていて、もちの周囲はけしの粒で覆われている。
以前は、よく結婚式の引き出物でいただいてくるお饅頭とか三笠の箱の周囲は
こんなふうに紙のレースっぽい飾りがついてたよなぁ、、って懐かしく思い出した。
一見すると、こんなお菓子のどこが珍しいの、っていうことなんだけど、
このお菓子屋さんは創業350年になるとのこと。
350年も前からこのお菓子を今に作り続けてきたんだそうな。

こういう求肥の餅のお菓子って、時間が経つとお餅の部分が固くなって
風味が落ちることが多いのだけど、ここの求肥は秘伝があるとかで昔から
数日おいても固くなることが少ない。
それから、中のこしあんがすばらしい。てらてらときれいなつやがあって、
いい材料で丁寧に作った、というのがすごくよく分かる。
あ、上等のこしあん、っていうのはこういうものなんだ、
っていうのが一目瞭然。逆に言えば、今まで食べてきたよそのこしあん
って一体なんだったの? っていうくらいきれいなこしあん。
(そのこしあんの写真を載せようか、とも思ったのだけど、
がぶっと噛んでいるそんなものを載せるのは、いくらなんでも、と思って
やめにしました。)
それとね、この箱、区切りに経木が使われているんだけど
実はこの経木の香りがすごくいいの。
その香りがお菓子に移って、それもこのお菓子をおいしくさせている気がする。
たぶんそんなことも長年の伝統の中で見つけられたり、考え出されてきた
ことなんだろうね。
謙介はだから与謝野さん、っていうとすぐお菓子のほうに意識が行ってしまうんだ。(笑)
謙介的に「与謝野る」はお菓子だな。 (笑)

このけし餅のお菓子屋さんは堺の宿院(しゅくいん)っていうところにある。
この宿院あたりって、由緒のあるお菓子屋さんがすごく多い。
与謝野晶子の生家だって、この近くなんだ。

堺っていうと大阪の南隣で、いまひとつ印象が薄いかもしれないけど、
何せ大仙古墳だってあるし(昔は仁徳天皇陵って言ってましたが
最近は仁徳さんのお墓? っていう疑問符がついたので、古墳のある場所の
名前を取って大仙古墳ということになってる。)南蛮貿易から堺の町衆
以来の歴史もあるものね。地味ではあるけど、その分、街としての奥行きとか
文化の裾野の幅は大きかったりする。
まえに、サイトを通して知り合えた方とこの堺をぶらぶらと歩いたことがあったのだけど、
また、いつか調子がよい時に、この堺の街を歩けたらいいなぁ、って思う。


月曜日。仕事帰りにがんセンターに行く。
主治医がまた病棟のほうに急に行ってしまったものだから
待合でぼんやりと待つ。
するといつも診察の時間が相前後してよく顔を合わすIさんが
来る。近況の話やら、ニュース23のキャスターの話やらになる。
「もどってきますかねぇ。」
「予後がねぇ、、。」
というような話をする。だけど、がんセンターの内科外来で、患者同士で
こんな話をしていると、緊迫感がずいぶん違うということを改めて感じる。
程なくして主治医の先生、もどってくる。
数値は、大きく変動はしていないから、このまま様子を見ましょう、とのこと。


(今日聴いた音楽 堀沢周安作詞 中田章作曲  大阪市歌  演奏大阪市音楽団
 この曲、前にもサイトで書いたのだけど、結構好きな曲です。作曲の中田章の
 息子が、同じく作曲家の中田喜直ですね。)


|

« 「姉」の教えたまひし言葉 | Main | 徳島・眉山 »

おげいじゅつ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91870/15137813

Listed below are links to weblogs that reference これも「与謝野」る?:

« 「姉」の教えたまひし言葉 | Main | 徳島・眉山 »