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07. 04. 12

おしゃれな住まい?

このあいだ、家賃を納めに大家さんの家に行った。

俺の住んでるアパート、最初の契約で大家さんのところに
現金を持っていって納めること、っていう契約条文が一項入っててさ。
それで持って行く、ということなんだ。
そういうと「ええっ、いちいちお金を持っていくのって面倒じゃない?」
って必ず聞かれるんだけど、うーん。あんまり面倒を感じたことはないなぁ、、。
大家さん、人柄のいい人で、いつも行ったついでに俺と世間話をするし、
話のついでに「謙介くん、持ってお帰り。」って自分の畑でとれた野菜やくだものを
くれる。(結局、それかよ、って言われそうだけど。笑)

いつもそんな世間話をひとしきりして、「家賃の通い」に領収印を押してもらって
帰ってくる。
ところが、先日は行ったときは、ちょっと様子が違っていた。
「あのね、今、はんこが見えんのよ。」
「どうしたんですか?」
「それがね、先週、うちの写真を工務店の人が撮りに来てなぁ、、。」
「きれいにできましたものね。」
大家さんの家、ちょっと前に新しく建て替えたのだけど、立派な家なので
工事をした工務店が、その会社のサイトに我が社の施工例というか、
モデルハウス、ということで写真を撮らせてもらって掲載したいと、
そんな話があって、大家さんの家を撮りに来たのだそうな。
「でなぁ、それまでのうちの中は、もう部屋の中が散乱しほうだいやったんやけど、
その撮影の時だけは、がらくたをぜーんぶ納戸部屋に片づけて、きれいさっぱり
なーんもなし、っていうことで撮ったんよ。」
で、まぁその時に、そうしたはんことか、老眼鏡とか、細々としたものもぜーんぶ納戸部屋に
おしこんで片づけてしまった、と。
それで放り込んだはいいけど、そのラビリンスから、今度は目指すはんこが見つからなくなって
しまった、と。どうもそういうことらしい。

「そう言えば、モデルルームとか、本屋で見る建築雑誌の写真なんか、
あれまぁ、って思うくらい何にもなくて、、小ぎれいに片づいてますよね。」と俺が言った。
「うちに限ったら、あんなのは絶対あり得ない。うそうそ。」と大家さん。
とは言いながら、俺が楽しみにしているブログの中には、何人か自分の部屋の写真を撮って
載せている人もいて、そうした人の部屋は、まぁモデルルームの写真ほどではないけれど
そこそこ片づいているし、それに家具とか住まい方もすごくおしゃれな感じ。
本人はインテリアとかそうしたものに全然興味がないから、、、なんて言いながら
それでもやっぱりあれまぁ、とは思う。

他人の部屋は美しい。(笑)

この間、実家に戻っていたとき、朝新聞を読んでいた。日曜の新聞はすごく重い。
実はマンションの広告がすごいのだ。 俺の実家では新聞の折り込み広告のことを
「はらわた」って呼んでいる。「今日のはらわたは重い。」っていうふうに。
で、そのはらわたの大体70パーセントがマンションの広告。20パーセントが
○ニクロとかの衣料の量販店の広告。後の10パーセントが旅行会社とかデパート
とかスーパー、っていう感じ。
で、マンションの広告なんか見ると、本当に「おしゃれなお部屋」の(思わずお部屋
って言いたくなるような、美しさ。笑)写真がこれでもか、これでもか、って載ってる。
うーん。すごいなぁ。何にも余計なものを置かなかったら、こんなになるんだー、
と見ながら感心する。
そうして溜息を吐きながら、無理だろうなぁ、、とか思う。

そういえば思い出したぞ。
こないだ京舞の井上八千代さんの家の話をしたけど、
あそこの家の舞の稽古場だって、稽古場の隅に、子ども用の
ブランコだの、滑り台だのが置かれていたときがあった、って。
もう稽古場なんて「しっちゃかめっちゃか」なのよ、ってセンセイも言ってた。
それが年末の「事初め」の時なんかは、全国ニュースになって
いかにも、舞の稽古場で、っていう写真になっている。
多分、毎年師走の京都の風物詩みたいになっているから、
テレビとか新聞とか雑誌の写真で見た人も多いんじゃないかな。
でも実際の稽古場の横には、滑り台。(笑)

まぁそんなものかもしれないね。
それが生きた人間が住んでいる、っていうことかなぁ、って思うし。
前にソウルに行ったときに、思いっきり贅沢しよう、っていうんで、
ヒルトンに泊まったのだけど、お部屋は(笑)とてつもなく
豪華で美しかったけど、ああ、これは自分の住む場所じゃないなぁ、、
なんて、つくづく思った。

友だちに家具職人が居て、そいつの工房で造った家具が
京都のハイアット・リージェンシィ・ホテルに入った、って言うんで
その納品されたのと同じやつを彼の工房に見せてもらいに行ったことがある。
椅子なんて、おおっ、とは思ったけど、うちの家には似合わないなぁ、、と
俺がこんな家具の使える部屋で生活は、、うーん、なんて
思いながら自転車で帰ってきた。(笑)

とはいえ、重要文化財の部屋で一ヶ月暮らしたことはあるんだよ。
京都に住んでいた時に、自分の部屋を大工さんがてを入れることがあって、
友だちが妙心寺の本坊に住んでいたので、そのまま転がり込んだ。
妙心寺の本坊は重要文化財だもの。
そこで工事が終わるまでの一ヶ月お世話になった。
最初の方こそ重要文化財だから、っておっかなびっくりだったけど、
友だちも至って普通に住んでいたし、、。
ご飯だって台所を借りて普通に作っていたしなぁ、、。
あ、そうそう彼の部屋も本の海というか山なす本だらけの部屋だった。
でもそんな重文の建物でもすぐにとけ込めたのは、
住んでいる状態が自分の毎日の暮らしに近かったからだろうな、って思う。
だからごく自然に住んでいられた。
だけど、多分ソウルのヒルトンとかロッテとかああいうホテルの一室で、、、
なんていうと、多分すごく無理があったんじゃないかなぁ、
自分の日常と違いすぎだもの。

振り返って、自分の部屋は、といえば
やれやれ、と溜息の出るラビリンス。
おしゃれな住まいからはほど遠い。

まぁねぇ、、。片づかない原因は分かってるんだけど。
本だなぁ。本がすべての問題の根源。
仕事場の部屋も、今のところから出て、もうちょっとおしゃれな(笑)
マンションにでも越したら、とも瞬間的に思うときもある。
だけど本をどうするか、っていうことと
引っ越しの労力、移動しての諸手続の変更、っていうようなことを考えたら、、、
でいつも堂々めぐり状態。

せめて、整理をして片づいた部屋めざして、がんばることにしようか、なぁ。(笑)

(今日聴いた音楽 L-O-V-E 歌 NATALIE COLE
 アルバム UNFORGETTABLE  1991年盤から
曲の名前聞いても「?」だけど、映画スウィング・
 ガールズのエンドロールの曲、って言うと、ああ、
 って分かるかもしれないね。)


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