官能検査室

昼休み、同僚が「ヘビメタ、って知ってる？」
っていうから、「ヘビーメタルのロック？」　って答えたら、
「違う。」って言われてしまった。

「何？」って聞き返したら
「ヘビーなメタボリック・シンドローマーよ。」
「なんだよ、それは。」

以前のヘビメタっていうのはさ、
何か胃がすごく悪そうな、青白い顔色で痩せて
身体がガリガリのにいちゃんが出てきて
ぎゅいんぎゅいんとエレキギターを鳴らす、っていうのが
ヘビメタっていう音楽の印象だったのだけど、
最近ではふくよかな体型の人のことを指すんだってさ。
ふーん。時代は変わったね。

このところ世間では納豆需要が一気に高まって、
納豆がスーパーから消えた、なんてあちこちで言ってるよね。
このあたりって、日本では一番納豆の消費量が少ない地域らしいので
よそでは大騒ぎになってるけど、
納豆、スーパーの棚から消えたりせずに今も普通にあるけどね。
ダイエットの材料、ちょっと前が寒天で、今度が納豆なんだねぇ。
あれこれといそがしく変わるんだ。
その変化の種類とスピードには、いつも感心してしまう。（笑）

栄養士の友達は仕事柄あちこちで栄養指導とか栄養調査を
頼まれるんだそうな。で、今一番気になっているのが
男性の肥満だって。　栄養士の友達はお役目柄、
「痩せないといけない人がどんどん増えている。」って
怒ってたけど。
実際調べたら栄養士の友達の調査した
地域とか会社の成人男性の３分の２が要注意の
肥満だった、って言ってた。

それは単に身長と体重からだけ
っていうんじゃなくて、血液検査をして血中の中性脂肪やら
身体の組織を詳しく調べた上でのデータだって。まぁ太ってても
ラグビーとか格闘技なんかやってる人は、体脂肪率は低いわけで
ああいう人は肥満に入らないし。

だけど、食べたいときにおいしく食べられるって、
幸せなことじゃない？　そっちのほうがよほどストレスが
たまらなくていい、って俺は思うんだけど。（笑）

それはともかく。
今日はその栄養士の友達に変な部屋の名前を聞いた。
「官能検査室」っていうの。
「かんのうけんさ、しつ？」
「そうそう。」
「なんだかえっちな雰囲気やね。ホラ、狭い個室に入ってさ、
男の人がおもむろにベルトなんか外して、、。」って俺が言ったら、
「アホ。」って笑われてしまった。
「狭い個室、っていうのは、あってるけどね。入ると机と椅子があって
その前に小さな作りつけの戸があるの。で、そこから手が出てきて、、」
「ひえええええ。」
「だから、手が出て、お皿とかコップに入った試験するものが一つずつ
目の前に置かれるだけなの。」
「で、その前に置かれた物の、お味見をするわけですね。」
「そうそう。で、そのお味見をしたものについて、匂いとは
とか、味は、とか検査項目に照らし合わせてチェックして、それを
記録していく、と。　で、その作業は他の人の雰囲気に左右されては
いけないから、個室になってる訳よ。近頃は、空気清浄機まで
入れて、部屋の空気の匂いまで空調設備でコントロールする検査室だって
あるんだよ。」
「すごーい。　でも、その官能検査って一度やってみたいなぁ。」
「謙介はダメ。」
「どうしてさ。」
「どうせ、うまいうまい、って適当だし。かと思ったら、
どうせ訳のわからん文学的な表現使って意味不明なこと言いそうだもん。」
「言わないよー。だからきっぱり言ったらいいんでしょ。辛うてうまい、とか。」
「何じゃそれ。　そんなんじゃ、やっぱりダメだね。」
ということで、以前にもまして大丈夫かこいつ、という表情で
奴は俺を見るようになってしまった。

官能検査への道はキビシイ。

（今日聴いた音楽　ヴェルディ作曲　歌劇　椿姫　第一幕から　「乾杯の歌」
ジョーン・サザーランド　ルチアーノ　パヴァロッティ　　１９７６年　ロンドンでの
録音　うちの姉は、こんな西洋式の歌唱を聴くと「○んこ声」と言います。
音大に行った人間とは思えない発言だと思います。前にねいちゃんかて大学で
○んこ声の出し方習うたのやろ？　」と言ったら、「私は器楽やし。」という
きっぱりとしたお答えでした。　でも、○んこ声って言い得て妙　では
あるようにも思えますが。）