滞院日誌Ⅵ

去年の暮れの紅白、
少しだけ見た。

何が興味深かった、って言って、
俺が一番じーっと注目して
見ていたのは白組の司会者だった。

相も変わらずというのか、彼の司会ということならばある意味
そうなるだろうな、って想像はできたけど、案の定というのか
Ｎ居くん、全く感情がこもっていなかったねぇ。

彼くらい、その言っている言葉と言葉を言っている人間の感情が
白々しくずれている、ってある意味見ものだと思ったから。

だけどＮ居くんって、感激したとかうれしかった、とか悲しい
という時に、どういう方法で自分の感情を表に出すのだろう？
それより前に、彼は親や周囲の人間から　どういう育てられ方や、
接しられ方をされて大人になってきたのだろう？
彼自身の持って生まれてきたものと
やっぱりそうした周囲の人との影響が、今の彼をして
ああいうふうな人間にしたんだろうな、って思う。

機械のような気持ちの裏づけのない笑顔で、
全く感情のこもってない白々しい言葉だけが
ただただ上滑りしている彼を見てると
どうしてああいう人間になったかなぁ、、
そんな興味がすごく出てきて、
ついついあれこれと観察してしまった。

夕べ主治医の回診があった。
大分症状が改善してきたので、５日くらいには
退院しますかね、という話になった。
何とか外に出られそう。
しかし１月１日にも拘わらず、
診察をしてくださったり病室の清掃とか食事の運搬を
日常どおりにしてくださる方がこうしておられるので、
俺なんかは何とか生活できている。
こうした方々のおかげ、だなぁ、と昨日はそんなことを
改めて思った。