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06. 12. 26

現実的な問題

病院に行く前日、バタバタしていたら、仕事場に
現役体育会系大学生の石川くん(仮名)がやってきた。

「け・ん・す・けさーん」

「はいはい。レポートは自分でやろうね。俺、また
入院するから。今日は忙しいんだよ。」
(どうせレポートの書き方がわからへん、とか言って
来たに違いない。病人をこき使うなんて、ふてえ了見だ。)

「え、ああ、あ、入院するんですか? 」
「なんだかね。まただって、、、、、、。 またレポート?」
「うん、は、はい。まぁ、そのレポートのようなものが、、出て、、
どうしたら、、いいのか、と、、、、。」

「テーマは? 」
「あなたの好きな小説をひとつ選んで、その冒頭の2頁を
あなたの生まれ育った場所の方言に訳してみなさい、って言うの。」
「そんなもの、俺に聞かなくったって出来そうやないの? 
自分が今使ってる方言に直したらええんやし。」

「え、、とどうやったら、、。」

「たとえばやね、彼女はそう言った、だったら、彼女はそな言うた。でしょ。」
「え? そんなんでええの? 」と、石川くん。

「ええん? って、だって方言なんでしょ? 」
「あ、そんなら僕できますよ。 謙介さん、身体きいつけてくださいね。」

「今から帰るの?」
「あ、はい。」
「学校は何で通ってるの? JR?」
「いや車です。」
「石川くんたしか家はNやったよね。」
「そうですけど。」
「Nやったら、近くにホラ、いつも大きなお乳、てかてかに光らせてなんだか
映画の試写会とかテレビに出てくる二人組の訳の分からんおねいさんたちの
妹のほうの実家の近くと違うの? 」

「あ、そうですよ。そのてかったお乳のおねいさんたちの片方の実家、
すぐ近所です。」
「今は、誰か住んでるの?」
「そのてかったお乳のおねいさんのおばあさんが住んでますよ。もうね、
だいぶんボケてるていうのか、認知症が進んでるんですけどね。」

セレブだかなんだかよく分かんないけど、要するに
田舎に認知症のお年寄りが住んでいて、子どもたちは
都会に暮らしている、っていう図式ということになるのだろうか。
そう考えると、これってどこの家庭でもあるような
しごく現実的な問題になるなぁ、って思ったりした。

「だけど、てかったお乳のおねいさんって、きっと自分では、
そのおばあちゃんのおむつかえたりなんてせえへんやろね。」

「ハハハハ。 そりゃしないでしょ。」

「それからそのおねいさんが好きだって言うメンズの
グッドルッキングガイたちも入浴介助とか体位交換
なんか、せえへんやろね。」
「ねえ。(笑)」

まぁ、てかてか光ったお乳のおねいさんたちのことは措くとして。


今、俺の周囲なんか多かれ少なかれそんな生き死にの問題と
直面してる人ばかりだから、やっぱりそういう問題って自分の中で
すごく大きな問題として考えてしまう。


若い人の付き合いっていうのは、まだ自分と自分の相手と、
っていうくらいの人間関係で済んでるけどさ、
だんだん自分も歳とってくると
やがて歳取った親の問題とか、自分は将来どうするか
なんてこと考えないといけなくなってくるしねぇ。
そういう部分にまで思いを致さないといけない時期が来るんだよ。


それから、人と付き合う、っていうことだって、ほんわかとした理想とか
夢の中でこんなつき合いがしたいなぁ、、なんていう夢見るような
時もあるんだけど、その一方でじゃあ実際つき合いはじめて
住むようになったら、惹起してくるさまざまな厳しい
現実問題だって出てくるし。どこまでそういう
リアルな現実について地に足のついた現実的な考えを
二人でできるか、っていうことも考えに入れておか
なきゃなんないだろうしさ。


だけど、そんなことを周囲の友達に聞くと、「そこまで行く前に
おつきあいの関係が数週間とか数ヶ月で壊れてるよ。」っていう返事。(笑)

人とのつき合いっていうのは、現実的に捉える
っていうことも含めてある意味とても技術が
必要なことだよなぁ、って俺は思うんだ。

降誕祭も終わってお正月が近くなったので、
テンプレートをちょっと変えてみた。

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Comments

墨の可愛い世界のテンプレートですね。すっきりしていて、明るくて、いい感じのデザインですね。僕のBLOGお正月までお休みします。メールやコメントは、チェックして返信しますね。

ちょぴり早いけど、良いお年をお迎えください。

Posted by: holly | 06. 12. 27 PM 8:18

お正月が近いので、水墨画風のに変えてみました。
ホントはタイトルの字もこのテンプレートにあわせて隷書体くらいにしたいのですけど。(笑)
前の表示はハングルだったのですが、今度は北京語になっています。投稿の時間が上午とか下午になってるでしょ。
病院も帰っていい、っていう許可の出た患者さんは、今日あたりから次々と帰っていっています。
こちらこそどうもありがとうございました。
よいお年をお迎えください。

Posted by: 謙介 | 06. 12. 27 PM 10:27

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