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06. 11. 27

美術館

日曜日、 オフクロが前から見たかった絵の展覧会に行きたい
というので、ちょっと離れたところにある美術館に行く。
昨日は一日雨だったから、美術館も来館者が少ないようで
人も多くなくて落ち着いて見ることができた。

展覧会のテーマは戦没画学生の描いた絵。
日中戦争からはじまってずるずると戦火を拡大していった犠牲となって
学生達は学校での授業を強制的に中止され、戦場に送られることに
なってしまった。

たった1枚の召集令状で。

絵を専攻していた学生達のもとにも召集令状は否応無しにやってきた。
数日後彼らは召集されて、実家近くの軍隊の師団に入り、
やがて戦場に赴かなければならなかった。
召集令状が来て、戦場に赴くことが決まった彼らが
ギリギリの極限状態の中で描いた絵。
戦いに出たなら生きて帰ってくる、というのが無理なことは
彼らも知っていた。だから、その絵は彼らの「遺言」だった。

どんな気持ちでこの絵を描いていったのか。
自分のこと、家族のこと、自分をとりまく周囲のこと。
彼らは黙して語らずただただ絵を描いた。
そして彼らは、、、。

その絵をひとつずつ見ていった。

しばらくことばがなかった。
オフクロをちょっと見たら、真っ赤な目をしていた。

あまりにしんどくなってしまったので、
ちょっと休憩して常設展に行く。
今回の目玉はゑちごやの包装紙の原画。
ホラ、東京の日本橋が本店の、、。(笑)

「華ひらく」というのがそのもとの絵のタイトルだそうな。
今も行ったら包んでくれるあのカーマインレッドと白の包装紙。
だけど
原画を見たらそのデパートのマークも、筆記体で書かれた
店のローマ字表記の文字もなかった。
どうやらあれは後からデザイナーが書き足したものらしい。
あの包装紙のモチーフって、海岸の石ころなんだって。
いろんな形をした石を見てておもしろいな、
って思って絵にしたんだそうな。
最初はクリスマス用の特別な包装紙だったのだけど
好評だったので、あれがあのデパートの包装紙に
なったんだそうな。
それで今も使っている、ということらしい。


とはいえ、ちょっと展覧会は前半が重くて、
(あまりにも重くて) 実は今もその気持ちを引きずっている。
今日も一日そんなことを考えながら仕事をしていた。

(今日聞いた音楽 い・け・な・いルージュマジック 歌 忌野清志郎・坂本龍一
1982年 音源はシングルレコード これも○生堂のコマーシャル音楽だよね。)


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Comments

ちょと重そうな展覧会ですね。当時、戦争や、特攻隊が残した母への手紙をまとめた本とかもあるでしょう。ああいうの、僕も目が赤くなんるので、もうあんまり見ないようにしてるんですよ。
日本、もう戦いには、参加してほしくないです。僕の祈りです。

Posted by: holly | 06. 11. 29 PM 1:05

「きけわだつみのこえ」ですよね。
こないだも海老蔵の主演で、人間魚雷、
回天の映画やってましたよね。
自分の夢とか希望とかを途中で無理やり捨てさせられて
戦場へとかりだされた彼らの無念さ、死しか選択の余地の
ないことが分かっていて、、、
8月になったら、戦争はいけない、っていうのではなくて、
やはり平和ということをもっと真剣に考えないといけない、
と俺も思います。
もうすぐ12月8日でもありますし、ね。

Posted by: 謙介 | 06. 11. 29 PM 8:18

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